「『東京最低最悪最高』が突きつけてくるのは、夢の街のきらびやかさではなく、そこで暮らす人間の感情の湿度です。登場人物たちは、どこかで『自分だけは大丈夫』と思いながら、気づけば誰かと比べて傷つき、誰かを見下して自分を保とうとする。そんな人間の弱さを、逃げ場のない距離で突きつけてきます。面白いのは、誰かを分かりやすい悪役にして片付けないところ。読みながら『この人は最低だ』と思った次の瞬間、同じ感情の芽が自分の中にもあることに気づかされる。だから痛いのに、目が離せない。うまい解決や綺麗な救いがないぶん、読後に残るのは"現実のざらつき"です。この漫画の魅力は、読後にスカッとするのではなく、薄く痛い"自己点検"が残るところです。東京の空気を借りて、私たちの中にある小さな卑屈さや見栄を、見ないふりできない形で照らしてくる。だからこそ、苦いのに忘れられない一作として推薦します。」
「いやー、東京で生きていくのしんどすぎませんか。人相が悪い人の描き方がだいぶ味わい深いです。」
「『仕事』とはなんでしょう?そのために、子供や生活、楽しい趣味などなどを、犠牲にしてしまうときに理由に最も使われる言葉。なんなら、『仕事』を理由に、ほとんど倫理に近いような大切なことまで、害してしまうことがある私たち社会人。そのとき、私たちはちょっと悪い顔をしているかもしれません。でも仕事は大切! と自然に思ってしまう私たち。でもストレスを感じる程の意味はあるのだろうか、本来、目指していたことってなんだろう...! 東京の出版社で働くウラオモテだらけのリアリティ抜群の男女の気持ちの変化を、痛みを感じるぐらいのヒリヒリ度合いで活写したこのオムニバス作品が、こちら。鳥トマトさんが書く、憎みきれない悪い人たちが、表情も言動ももう最高! こんなに悪い人たちだらけなのに、最後の最後で、仕事する理由をあきらかにしてくれます。そう、仕事してれば、生活が成り立っていれば、なんだかんだで最後は自分で決められる。オトナって自由! 9割のストレスの向こうに、なにものにも代えがたい、自由がある! と思える作品。」