「『時間を止められる』という発想は、普通なら願望の物語になりがちです。でも『時間の神様』は、そこから一歩も二歩も踏み込んで、奇跡が"後戻りできない現実"に変わる瞬間を描いていきます。時間が止まる静けさは魅力的なのに、その静けさの中で選んだ行動が、現実の時間に戻ったとき重く響いてくる??この構造が、サスペンスとしても青春劇としても強いです。本作の核は、能力の派手さではありません。"一度やってしまったこと"を抱えた人間の視線を丁寧に積み上げる点です。ここにあるのは"便利アイテム"の物語ではなく、"罪悪感と選択"の物語です。そして、青春のきらめきと、背筋が冷えるサスペンスが、同じ線上で走っていく構成が見事です。守りたい気持ちが強いほど判断が危うくなる、その切実さがページをめくらせる。読み終わったあと、『もしも』を夢見る気持ちに、少しだけ現実味の影が落ちる??そんな余韻が残ります。」