「性加害と、表現者の持つ暴力性を真正面から描いたうえで、エンタメとして最高の形での完結したのがすごすぎる。間違えても、何年経っても、気づいた時にもう一度やり直すことはできる、というシスターフッドのあり方にぐっときた。読むと力がみなぎるし、それはこの先もことあるごとに私を助けてくれる力だと思う。」
「2025年2月、最終6巻の発売をもって完結。『恋』という口あたりのよい型に収まって説明不要なその関係が実は恋じゃないとするならば、いったいそれは何なのか。人と人が立場や年齢や力関係を越えて個として対等に向き合い結びつくことの難しさを、このマンガは深く掘り下げてきた。そしてそれは最後までわかりやすい解決を見るに至らない。そもそも簡単に答えが出るテーマではない。クリエイターやアーティストと呼ばれる仕事は、周囲の無責任な思考停止的称賛によってクリエイティブであると認定されれば何をやっても許されるのか。時としてそれは傲慢な所業であり、人として鈍感なのではないのか。そこに異議を唱えるのは、芸術という至高の価値を理解しない野暮天なのか――。本作が提示する問いは、ともすればコンプライアンスの名の下に創造性のフリーハンドを奪い、また、多くの恋愛を不可能の域に追い込みかねない。おそらく連載の過程で様々な議論を呼んだだろうし、そもそも渡辺ペコはそれだけの覚悟をもって連載を始めたのだろう。ストーリーの終幕近くでは、加害者として描かれてきた彫刻家が「自分が今まで恋愛だと信じていたことが/加害行為だったのかもしれないと少しずつ理解できるようになってきた」(6巻100ページ)と翻心する様子が描かれる。しかし、それでなんとなくの落着に向かうのではなく、作者はもう一段の強いやりとりを投げ込むことを辞さない。それによって作品は苦さを残したまま終わるが、最後に作者の意志と一縷の希望がほの見えるので、あとはこの作品が問いかけたテーマについて、読んできた私たち一人ひとりがそれぞれに考えるしかない。」