「2020年5月(コロナ禍の最中だ)に1巻が出たときはいつものように即購入してさっそく読み始めてはみたものの、いくえみ作品にしては珍しく人間関係が自分にはすんなりと入ってこなくて途中でストップ。2巻も3巻も出るたびに購入してはいたのだけれど、本棚に挿したままになっていた。ところが訳あって昨年末に既刊6冊を一気に読み通すことになり、結果、やっぱりいくえみ先生は素敵なマンガを描かれる、と改めて実感した次第。隣同士で幼なじみとして育った2人が乗り越えてきた長~い年月(2人は現在アラフォー)を巻き戻し、そのときそのときの心情をストップモーションで追体験し、再確認する。そこには長く生きてきたなりの紆余曲折があり、音信不通期間もあって――、というのは人生につきもの。年を取らなければしっくりこない感情や、その年齢にならなければ分からない機微のようなものを、クスクス笑いをちりばめた明るいトーンで、でも要所要所でエモく切なく振り返る。そう、全体が壮大な伏線回収ストーリーになっていて、過去のあれはそういうことだったのか(!)と。キャラクター造形の絶妙さも相まって、ジョン・アーヴィングの小説のようなしみじみとした読後感を残す。いくえみ作品の醍醐味でもある群像劇のおもしろさが極まり、今回は四世代(新生児を含め)それぞれの心情、真摯な思いと、相手を思う真っすぐな行動が相互に影響し、精緻なタペストリーのように織り込まれ、交錯する。その構築力は圧倒的だ。これほど『一気読み』にふさわしい作品はないのではないかと思う。」