選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2024一次選考作品

『スーパースターを唄って。』薄場圭

  • 「笑ってるけど泣いている人。真顔だけど嬉しい人。そんな表情の描き方が本当に凄い。ちっともマンガ的ではないセリフに感情をブッ刺されたら、すえた匂いが漂ってくる町に放り込まれている。2023年いちばんの衝撃でした。歌いたいことなんかないと嘯いた主人公が、マイクで人生を変えるところを見たくて仕方がない。」

    「『抗う』『抵抗する』といった、昨今あまりそれが必要な場面にもでくわさない言葉がぴったりな作品です。かわいい絵なのに、場面場面の薄暗さや匂いまで感じさせられるような、迫ってくる感じがあります。」

    「絵柄とストーリーにギャップがあり環境や運に負けずに頑張ろうともがき苦しんで必死に生きようとしているキャラクターたちになんども胸を掴まれる。」

    「舞台は整った。物語は動き出した。腹の底で煮えたぎる怒り、思考から離れぬ悲しみ、それでも続く現実の毎日への冷え切った諦念、それらを抱えてどこに向かうのか、早く見たい。」

    「可愛らしさのあるタッチで描かれた人物たちとは真逆を行くような、匂い立つ暗く汚い空気と、そこで繰り広げられるエグさ満点の展開。重ためのパンチを喰らい続けながら頁を捲る中で、主人公が一筋の道に縋るように、その燻ぶらせた炎を燃やすステージには思わず鳥肌。紙面から音がビリビリと伝わってくる作品は久々で、この引きずり込まれるような感覚は誰かと共有したいと強く感じた。」

    「冷たすぎて火傷するような、青い高熱の炎のような。ヒリヒリのストーリーに、どうか幸せになってほしいと願いながらページを捲り続けてます。」

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