選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2023一次選考作品

『緑の歌 - 収集群風 -』高妍

  • 「青春と成長と音楽を絡めた文学的作品、と一言で言ってしまえばありふれたテーマなのに、どの世代にも刺さりそうな魅力に溢れた良作。コテコテに感じないのは、著者が台湾の方だからなのかも?日本文化を通じて新しい世界と出会う少女の物語が、逆に読者に新しい世界を見せてくれます。」

    「こんなに奥ゆかしくて、繊細で丁寧な漫画は久しぶりに読みました。久しぶりに会った友達と喫茶店で向かいあってその子の話をうんうんと聞いているような、紙面から目を離してふと顔を上げたらその友達と本当に目が合ってるような、そんな不思議なリアリティー。そして現実的な時間軸を描いているのにどこか普遍的な懐かしさを感じる高研先生の絵。台北の少し肌が汗ばむような、生暖かい匂いすら感じ取れる気がする作品の雰囲気が心地よく、本編で描かれているテーマ以上にそんな『体験』が出来たことにこの作品の素晴らしさを感じました。完全に表紙買いでしたが大大大正解でした。私の今年の一推し作品はこの作品です。」

    「このなんとも言えない含羞はなんだろうか...!相対化、他者からの目、相互評価のゲームにスレきってしまっている感がどこかに存在している日本文化に対して、この台湾からもたらされた作品は、我々が無意識に囚われている乾いた自意識がまったくなく、どこまでもウエットでロマンティック。細野晴臣とライブハウスに魅せられた、ということがはっきりわかる、写真家なら一瞬でとらえるであろうシーンを、丁寧に丁寧に描いた画で見せてくれる。無かったはずの思い出が、もしかしたら自分のものかと思わせてくれる。ほとんど魔法ではないだろうか」

    「『はっぴいえんど』『ゆらゆら帝国』など作中に出てくる音楽を聴きながら、休日にゆったり読む。きっとこれがベストな読み方。」

    「昨年はとにかく台湾マンガに読み応えがあった。『用九商店』や『台湾の少年』もよかったが、1作挙げるならこれでしょう。この作家の『感情表現』や『間』のうまさには、日本の描き手を超えるものがあると思う。イラストレーターとしても活躍する人だが、マンガを描き続けて!とお願いしたい。」

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