選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2023一次選考作品

『星旅少年』坂月さかな

  • 「なんて落ち着く世界観!夜寝る前にゆっくり読むと気持ちがあったかいブルーになっていくようです。」

    「人類の終末が近づく宇宙を舞台として、謎めいた少年の旅と交流を優しく描くファンタジックSF。姉妹篇『坂月さかな作品集 プラネタリウム・ゴースト・トラベル』との併読が妥当だろう。」

    「いいSFは読んでいたらいつのまにか作品世界の中にいる、というのが持論なのですが、本作品はまさにそうでした。我々の世で言うところの死に等しい『覚めない眠り』につく人々、そんな世界の中に僅かに残る人の営みを集めて記録していく主人公。どこまでも静かで美しく、マンガだけど詩を読むような空気感がありますが、少しずつ物語の秘密に近づいていく展開がたまりません。無機質なようでいて有機的な世界と、眠ってしまった人々の美しいけれどもぬくもりなき形とまだ眠っていない人々の体温と。相反する事象を抱え込んでなお優しい、なんとも言えない読み心地。今季一番出会えてよかった作品。先が気になります。」

    「描き方のバランス感覚が秀逸すぎるSF漫画。ゆるく始まって徐々にシリアス路線...みたいなSF漫画はたくさんありますが、『星旅少年』はそことは一線を画しています。あくまでゆるさは保ったまま、でも決して軽くはなく、かといって重くもしない。1巻も2巻も、その作品としての真ん中がブレることなく描かれています。作者の坂月さかなさんは、きっとバランス感覚に優れた方なんだろうなと想像します。同じ世界観で描かれている『プラネタリウム・ゴースト・トラベル』もおすすめ。」

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