選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2023一次選考作品

『新しいきみへ』三都慎司

  • 「新型コロナウイルス禍に突入して以降、疫病系のマンガはたくさん登場したが、この『新しいきみへ』は世界の終わり系パンデミックアクションの形をとりながら、主人公が記憶を引き継ぎつつ再生を繰り返し、再スタートするタイムリープ要素をぶっ込んだ。リアルな都市(破壊)描写は戦乱や天災など現実社会の動きとも同期していて実に今日的ながら、世界を救う宿命を背負った謎めいて魅力的なJKが冴えない男性教師にからむところはヤンジャンらしい(?)王道的な展開。相手を信じ、協力して、状況を読み、判断し、運命に必死にあらがいつつも、やはりかなしい別れからは逃れがたく......。おのれの無力感に苛まれそうになりながらもまた前を向き、イチからやり直し、今度はもっとうまくやる――というところまでが既刊3巻なのだが、これからマンガ作法としてタイムリープをどう描き、どう回収し、物語をどう進めるのかが楽しみ。すでに種はまかれているので。作品名のいわれが明かされる3巻最後のやり取りは切なくもエモい。破綻せずに納得の結末に着地できるのか、固唾を呑んで見守りたい。」

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