選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2022一次選考作品

『ヨリシロトランク』鬼頭莫宏、カエデミノル

  • 「殺した人間を殺せば殺された人間が蘇る世界に改変された後の世界をベースに、時代や場所を縦横無尽に駆け巡り、様々な人物に焦点を当てたショートストーリーが展開される。いわゆる『目には目を歯には歯を』の世界であるため、愛する人を失った者がその人を復活させようと殺人を企てるといった誰もが想像できるストーリーもあるが、人の死と蘇生を時間や空間の移動手段として用いるなど、想像もつかない利用法を提示するストーリーもあり、この改変された世界を前提とした思考実験として面白い。改変後の世界における『殺人』とは何なのかを常に読者に示し、考えさせ、その定義を変えてみせる作者の着想や思考に脱帽するばかりである。」

    「『殺された人が生き返れる』という、とあるルール改変でできるようになったらどうなるか。ある種チート感を感じるのだけど、ものすごい設定で描かれるストーリー。改変ルールを理解するのに最初頭が混乱していくのだけど、巻数を進めていくと同じ設定のオムニバスになって行って、かなり作品としても色々冒険している感じがします。その絵の可愛さと、中身のシュールさに引き込まれる作品です。」

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