選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2022一次選考作品

『バトルグラウンドワーカーズ』竹良実

  • 「始まりは、徹頭徹尾地味。主人公たちは、わかりやすい正義感のためではなく、我々の身のまわりにある介護やいじめや毒親やドロップアウトというありふれた絶望をやり過ごすために、人類を救うための遠隔ロボット・ライズに乗って人類の敵・亞害体と戦いはじめる。その戦いも、遠隔であるが故に、死にはしないだが、その代わりに『星が減る』という、かなりイヤなペナルティが科される。この地味な不快感のなかに折れずにいる主人公仁一郎がいることだけが救いで、3巻までは読み進める事になる。が!!! この地味さは、すべて『仕込み』なのだ!!4巻からの怒濤の展開は、ネタバレでしかないので詳細は書かないが、マンガでなければいけない理由に満ち満ちている。想像も付かない設定の裏、考えられない目標の設定と乗り越え方、キャラクターの多面的な反射、伏線の鮮やかな回収...!それぞれの驚きを超えて得たカタルシスに、次々と新たな衝撃が加わってゆく。この驚きのすべては、スーパー能力の持ち主によってもたらされるのではなく、すべて普通の人間の『意志の力』で実現されるわけだが...!そして2021年、8巻で完結。そのラストの理想と重み、これこそ、『作品』。」

    「思いがけない展開で読者を惹きつけ、物語を強く着地させた力量に感服。全八巻で完結した今こそ改めて推したい。」

▲ ページの先頭へもどる