選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2022一次選考作品

『カペラの眩光』相澤いくえ

  • 「才能は呼応する。幸か不幸か、天才同士でなくても。それは時に喜びでもあり苦しさでもあるんじゃないかと思います。また絶対的評価のないものに、人はどこまですがれるのか。そしてSNS隆盛のこの時代に、誰しもが誰かに評価されうるということは、時に残酷なものだなと感じます。この作品では二人の主人公のそれぞれの『才能』を巡る物語を描き、誰をとっても痛々しく、でもそこには負ったばかりの火傷のような瑞々しい生きざまがあって、本人の苦しみをよそにそこに美しさを見いだしてしまっている自分に気づきます。どうか苦しまないで、と声をかけたいけど、無理なんだよねきっと。それならまるごと堪能させてもらいますね。一巻のラストに主人公の背景が深掘りされそうな動きがあり、今後の展開が気になる作品です。」

    「27歳売れないバンドマンが友人である天才画家のゴーストペインターになることで運命が動き始める、という物語。話がどう進むかと気になるところですが、主人公2人が望む景色がみれるといいなと願います。前作の『モディリアーニにお願い』もそうでしたが、相澤先生の作品の根底のテーマは"才能"かなと思っています。自分はただの読者で『何者になりたい』という欲はないけれど、キラキラした相澤先生の作品を応援できる自分でありたいといつも思っています。独特の暖かさのあるタッチと、足掻きもがく眩しさにヒリヒリする感情。心の深いところに刺さって、いつも考えさせられます。卒業したモーニング娘。佐藤優樹ちゃんをモデルにした一コマがあることが嬉しかったです。」

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