選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2021一次選考作品

『あの月に向かって打て!』寒川一之

  • 「本当はもう一年様子を見て、2021年にやってくるであろう、物語の最初の山のタイミングで投票を......と思うほど、物語がゆったりと進んでいるのも好印象だが、まさか打ち切りになってりしないよな......と不安に駆られて本年票を入れることに(実際、ビッグコミックスピリッツ誌の『リボーンの棋士』や、イブニング誌の『いとしのムーコ』などの良作が何の事情か連載終了という腑に落ちないケースが続き、マンガ雑誌の連載体制について疑心暗鬼になっています)。秀才一家の末っ子が高校受験に失敗し、失意のまま野球部に入ったところ、超初心者にも関わらず、ホームランバッターとしての才能のきらめき(のかけら)を見せ始める......というのが、物語の現在地。最近のスポーツマンガにしては、素直にゆったりと話を進めてくれていて、すっきりした画風とも相まって読み疲れしない。登場人物も1人か2人ずつ登場させ、主人公との関係性をきちんと描いてから、新しい人物を登場させる。おそらくはもうすぐ最初の大会がスタートするはず。設定も作画も物語も、不要に話を詰め込みすぎていないから、読者としてものびのび読むことができる。作中に登場する女の子も(なんなら男の子も)かわいく描かれていて、長く続いてほしい作品です。」

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