選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2020一次選考作品

『天国大魔境』石黒正数

  • 「軽快さと不穏さが交互にやってきて、笑ってていいのか緊張していいのかがわからなくなり、フラフラしてるところを、ズバーとアッパーをきめてくる攻撃力の高いマンガ。「この先どうなるの?」って感覚はたいていのマンガに言えると思うのですが、本当にこの先どうなるかわからんのです!」

    「乾いた絵柄、かわいいキャラ。緻密すぎる設定。現代文明が崩壊した後の世界(日本)を舞台に展開するSFながら、時にのんきとも言いたくなる会話や日常ギャグが唐突に挟み込まれる独特なタイム感に、読んでいてとても引き込まれる。既刊3巻。一人称が「僕」の女子キルコ(おねえちゃん)の描写がたいへんに魅力を増してきていて(彼女に惚れる男性読者は多いだろう)、その点でもヒトこまヒトこまを追うのが楽しい。当初からまったく異なるように思えるふたつのストーリーが交互に語られ、連載が進んで次第にその関連が匂わされるにつれ、広げられた風呂敷がさらに広がる感じ。石黒正数先生らしく伏線はきっちり回収するはずで、すごいなー、と感嘆しながら何度でも読み返せる。」

    「なんでしょう、このそこはかとない大友克洋感。この作者さんってこんな絵だったっけ?と思わず前の作品も読み直してしまいました。(結果、違った)絵柄もそうですが、漫画オタクのツボをことごとく突いてくる設定やキャラクターや台詞回し。マンガ大賞として薦めるというよりは、マンガ大賞の選考員をやっている人たちの中で知らない人がいたら言いたい...っていうほうが強いかもしれません。」

    「世界観すら謎で始まったこの漫画、だんだん外がわかってきて物語の骨格が伝わってきた感じ。石黒ワールドの楽しみは知った後最初を見るとまた新たな発見があるというところ。巻数を重ねるごとにくるこのインパクト、ヤバイぜ!」

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