選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2020一次選考作品

『ふしぎの国のバード』佐々大河

  • 「以前も一度推薦した作品ですが、巻を重ねるごとに、さらに注目すべき良作になっているので再度押します。イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を原作にするというだけでもすごいが、博物館の取材や文献資料を駆使して「それ以上」のものに仕上げていることに感嘆します。舞台は明治日本の東北ですが、私たち読者の視線は当時の日本人ではなく、英国人のバードの方に近い。つまり、「未開の国・日本」を、金髪で青い目の冒険家の目を通じて"探検"する。この逆転というか、倒錯した感覚が本作の独創性で、最大の魅力と言えます。バードが旅した日本は、今はもう地上にない国、とうに滅亡した「文明」であることに気づかされます。通訳として同行する若者・伊藤鶴吉がまたクールで魅力的に描かれており、バードとの「主従関係」は"萌え"要素満載。バードはこれから蝦夷地にも渡り、アイヌの人々とも交流する。いわば「異国の中のさらに異国」という未知の世界に入っていく。この作者ならやってくれる。ますます期待が高まります。」

    「前回も推させて頂きましたがしつこく推させていただきます。実在した海外の冒険家が、実際に日本を冒険したときの手記を基にしたお話です。(主人公は実際よりも若く設定されていますが)江戸から明治に移る時代の中で日本政府によって消された歴史って結構あるらしいです。それが最近、海外の手記から明らかになっているという事実。これが本当に日本にあったことだと見せられると考えさせられることが沢山あります。今の自分が開発途上国に持っているイメージが、まんま過去の日本に置き換えて見られるもの面白いです。知識系としても楽しめますし、ストーリーもキャラクターがコミカルに動くので読みやすくて良いです。」

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