選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2019一次選考作品

『千年狐 ~干宝「捜神記」より~』張 六郎

  • 千年狐 一 ~干宝「捜神記」より~ (MFコミックス フラッパーシリーズ)

  • 「中国古典をベースにしたオムニバス。どの話も、全部楽しい。人と人非ざる者の交流というパターンは今までにもたくさんあったけど、これを読んで、まだまだ描き尽くされてはいないと思いました。絵も上手く、キャラクターも魅力的で、話もコメディと思わせておいて、しっかりシリアスな部分がある。これからがますます楽しみです。」

    「中国の民話が背景に持っている思想の読み味に、作者のオリジナリティであるコメディチックなやり取りでの味付け、そして高い画力。長く楽しみたいと思うシリーズ。」

    「「捜神記」という中国の大昔の文書をモチーフにしたマンガです。昔の怪異だ妖怪だなんてものを集めた本が好きな方には何となく伝わるかと思いますが、この手の話って基本的に伝聞形式で書かれていて、主観がなくおそろしくドライな印象を受けませんか? いや何かやべえ奴いたけど大丈夫なの? とか、その人死んじゃったの?どうなったの?みたいな。そういうオチの無さが妙に不気味に思えて震え上がってたものですが、このマンガは化狐が主人公。人界の様々なことに首を突っ込んだり、あるいは人の愚かな営みに巻き込まれたりする様が描かれます。けっこう人死が出たり、人間のエゴで妖怪達が酷い目にあったりすることもちょいちょいあるのですが、妖怪だけに人間とは世界観がどこかズレているのか、軽口を叩いたりと妙に緊張感のない様がしばしばあり、それがいやに愛しくなってしまいます。容赦ない古の人の世界と、絶妙にユルい妖怪達のギャップがたまらない作品です。」

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