選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2018ノミネート作品

『我らコンタクティ』森田るい

  • 我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

  • 選考員コメント・1次選考

    「コミュ障の男の子が、小学生の時の思い出をもとにロケットを打ち上げる。中高生、大学生のような青春ではないんだけど、このマンガからは大人なりの青春を感じる。」

    「読んでいる途中から「なんじゃこりゃあ!」と叫びました...。お、面白いいい...。絵も構成もキャラクターも全てが素晴らしい。急にUFOの話が出てきて、なんぞや??と思うのだけれども、そこからロケットを打ち上げるというトンデモ展開にぐいぐい引きこまれます。しかし、ひとつだけ納得いかない点が、、、この作品、まだ重版してないんじゃないかしら!?もしそうなら、アフタヌーンさんの関係者さん...重版よろしくお願いします...(涙)」

    「2017年ダントツの一推し!!本屋で運良く平積みされているのを手に取って、読んですぐ友人達に布教しました。1話目のひねくれた雰囲気からどんどん加速して、最終的にはボロ泣きしました。もっと話題になってほしい...本屋に在庫がないのがもったいない!漫画好きに紙の本で勧めたいので、ぜひ重版してほしいです。」

    「全編を通して漂う青春感がなんとも素晴らしい作品。常識に囚われずにやりたいことを突き通す人、それを支える人達、とにかくかっこいいです。あらすじを説明しろって言われたら一言で済んじゃいそうなんだけど、それを実現するためにアクションを起こす主人公達の熱量や純粋さがただひたすらに胸を打ちます。こんなにスカッとする漫画に久しぶりに出会えて嬉しい!味のある絵柄と、曲者揃いの登場人物達も最高です。」

    「主人公ふたりの行動の動機が純粋で、読んでいて気持ち良い。」

    「一巻完結の本作品、おもしろい!と勧められたままに読んでみたのですが、近年稀に見る勢いのある名作が出たなという感じです。物語のスタートからゴールにいくまでの物語の膨らみが尋常じゃないです。日々何気なく暮らしていく中から夢が湧いてくる、それを叶える、なんでもない日常から非日常への変化、なんでもなかった小さな繋がりが大きな夢を結んでいく...この作品を語る言葉が見つかりません。だからこそ読んでもらいたい!!というイチオシの作品です。電子書籍では読めるようですが、増刷されていないとのことでもったいない!手に取って出会ってほしい作品です。後半の勢いからラスまでのスピード感、そして余韻。漫画でこういう体験できるんだと感じるほどです。わくわくしっぱなし。夢って、それだけでパワーです。夢を叶えるって、さらにものすごいパワーを生み出します。つまらないと思っている日々に隠れている夢って、もしかしたら誰かの人生や夢をいい意味で狂わせるんだな、と思います。メインのふたりの連鎖反応、本当に気持ちがいいです。この日々を変えたい、でも夢ってなんだっけ?なんて思うことがあったら、まずはこの漫画を読んでみてほしいです。勇気でますよ。」

    「不覚にも、この作品を読んだときには紙の単行本が手に入らず電子書籍でしか読めなかったのですが、そのことを死ぬほど後悔しております。不純のカタマリみたいなところから始まったカナエが夢みたいな目標に巻き込まれていく、その心の変化やかずきとの信頼関係が出来上がっていくさまが決してドラマチック過ぎない形で描かれている温度感というかバランス感覚というか、作品世界や絵柄との調和が素晴らしかったと思います。しっかり間を取って、穏やかな空気感がありながらも、これだけ丁寧なお話が単行本1巻で綺麗に完結しているということが実にヤバいですこれ本当。紙の本で読みたかった......!!」

    「世にまつろわぬ我らはしかし星を夢見る。片田舎の爪弾きものがロケット飛ばそうとするマンガロケット飛ばそうぜ! みたいこと言っている割に作っているのは手製の爆弾、みたいな感じ。梶井基次郎の檸檬が爆弾であると同等に、ロケットだって爆弾だよな、的な。突拍子意味も意義もないんだけど、それはたぶんこの宇宙でまだ誰もみたことなくて、きれいなんだよ、みたいな。そういうことをやってみせるマンガで謎の鬱屈感と爽快感が同居しててなんなんだろうねこれ?という感じ。よくわからないんですけど」

    選考員コメント・2次選考

    「後ろから頭を鈍器で殴られたような衝撃的な作品。これまで読んできたどの漫画よりもスピード感があり、セリフや効果音が勝手に頭の中で駆け巡ってしまう。久々に何度も読み返した。」

    「1巻の中に収められた熱量とスピード感は感動もの。読後感も最高!ひたすら自分達のロマンを追い求める主人公2人のひたむきさに心打たれます。学生時代だけが青春じゃない!」

    「仕事に不満たらたらなカナエは幼馴染のかずきと再会。彼がやっているロケット開発がカネになると思ったカナエだったが...。わたしにとって2017年の一番はこれでした。雑誌で読んでいたときには終わるのが惜しくてたまらなかったのですが、まとめて読むと一巻で終わる切れ味の良さが際立ちます。」

    「面白い!画にクセがありますが、そんなもの気にならないぐらいのめり込んで読んでしまいました。ロケットを飛ばすという目的が一本真っ直ぐにあって、それを軸に描かれており、ただ本格的にロケットを製作するような専門的部分は置いておいて、誰もが読みやすいようになっていると感じました。目的をひたすらまっすぐに見つめ果たす、読後感はとても良い印象でした。単巻漫画ではありますが、とても満足ゆく作品でした。」

    「これがマンガじゃないでしょうか。傑作です。」

    「読んでいる途中から、1本の映画を見ているような気持ちにさせられた。ロケットを個人で作って飛ばす夢のある話に、飛ばして乗せたい物がまた夢がある。途中で出てくる兄との対立のシーンが更に深みを増してくれてるのかな。終盤の加速感が読後の良い物を読んだという気持ちにしてくれた。」

    「読み終わって一番に『あ~~マンガ読んだァァl!!』という気持ちが押しよせてきた。始めはカナエというキャラがあまり好きになれずなかなか本の中に入っていけなかったけどカナエがかずきの手伝いに真剣になっていくと同じに私もどんどん本の中に引きずり込まれていきました。最後のカウント!ドッキドキしたーー!」

    「いわゆる社会的には「はみだしてる」人たちの、夢と野望と愛と〇〇がロケットに乗せられて宇宙に飛び出してった。単巻作品とは思えない充実感に、完全にしてやられた。フィクションにしておくのがもったいないので、どなたかこれ実現させてくださいよろしくおねがいします。ヒューイ、ヒューイ。」

    「単行本1冊分、254ページのこの作品がマンガ大賞2018にノミネートされるまでのプロセスに、世のマンガ好きは予測不可能な社会現象的要素を感じてワクワクしたのではないだろうか。2013年のアフタヌーン四季賞、初の連載(2017年5月号~11月号)と単行本化、そして版元の在庫切れで紙の単行本が手に入らないというプレミアム感あふれる展開。そして息も付かせぬラストまで(紙好きとしては仕方なく)電子書籍で読み切った時の震えはたとえようもなくミラクルで、今回いちばんの収穫でした。滝田ゆう、高野文子を想起させる、読んでいて背筋がぞわぞわっとするシャープな絵。とりわけ小柄でキツネ顔、前髪ぱっつんで性格のきつい主人公「カナエちゃん」のくるくる動く意志の強い目と表情豊かな眉はめっぽう魅力的で、デザイン処理された絵柄なのに生身のリアリティーがある。流麗で迷いのない描線は火や水や風の「動き」を感じさせるし、縦長のコマを多用した大胆で闊達なカメラワークからは映画にはできないリズムが生まれる。影絵のような、版画のような明暗がはっきりした画面も魅力的。ファンタジックな作品世界のあちこちにビターな挿話を紛れ込ませるバランス感覚が素晴らしい。町工場でロケットをつくって打ち上げるという、大人になるつもりもなければ自分がすでに大人であるという自覚もない小学校時代の同級生・かずきのまっすぐさと、カナエが最後にみせる大人の駆け引きと必死の能弁、その裏にある祈りのような気持ちが何ともいとおしい。こんな作品が大賞になったら、と想像するのは至福です。」

    「1本面白い映画を見た、みたいな感じのする1冊でした。性格いいやつ全然出てこないのに、いい話になってて面白かったです。」

    「宇宙人に映画を見せるためにロケット開発という、夢の「夢らしさ」をぎゅっと凝縮したようなテーマ。でもこれこそ青春映画になりそう。ただ、この作品に出てくるのは、下町の工場の「ぬぼー」とした男、かずき、そしてさえない日々を送っていたOLカナエ。青春を謳歌する高校生とかじゃないのがよりファンタジーって感じがする。このような年、このような生活をしていて、夢を追いかけたいという気持ちを持ち続けたり、または再び持つことが出来るなんて・・!そしてそれは、物語が進むにつれて、大人の夢をかなえてくれる。カナエが水を得た魚のように元気になっていく、エネルギッシュになっていく姿は、読んでいるこっちもワクワクしてくるし、夢のつまったロケットが、完成するまで、そして完成してからの展開も、毎日通勤電車に揺られている大人たちに、癒しと勇気を与えてくれるはず。そして最後は、にくい演出が待っている。後半からラストまで、一気に読める。この味のある絵もすてきだ。」

    「ページをめくった最初から魅了された、独特なタッチの絵。「あ、これは最後まで読ませられるな」と思った期待感は裏切られませんでした。ロケットを打ち上げたい浮世離れ男子と、何とか彼を騙して一攫千金を試みる女子。クラスタの違う2人が次第に気持ちをひとつにひ、タッグを組む過程もさわやか。長期連載の作品が増える中、こういう一巻完結の名作が増えるといいな、と思わされました。」

    「ダメそうな中年がたくさん出てくるのに、うっかりロケット発射に胸が踊ってしまった。」

    「独特の絵だからこそ引き込まれる感じ。ストーリー自体も凄く良いけど、変に小奇麗な絵だっり実写だったりしたら「ふ~ん」で終わってたと思います。漫画力が高い、こういう作品こそ売りたい。」

    「はしごを降りる動きを1コマで描いちゃうシーン、脳にキました。」

    「登場人物全員がとにかく愛おしくて、ラスト数ページをめくるのが寂しくて辛かったです。悲しい事なんかないのに、涙が出そうな余韻を味あわせていただきました。こんな作品に出会うたび、改めて「漫画っていいわぁ」となりますね。絵柄もかなりタイプなので先生の次回作が楽しみです。」

    「何故か引き込まれるものがありました。生っぽい人間関係や織り成すドラマが妙におもしろく、キャラも個性が際立っていました。」

    「ロケットを開発して宇宙へ飛ばしたいという突飛な導入に最初面食らいましたが、とにかく魅力的な登場人物が多く引き込まれます。特に昼は町工場勤務で夜はロケット開発をする中平かずきの、科学技術にパラメーターを全振りした天才肌の立ち回りが面白いし、ヒロインである椎ノ木カナエは、一見大人しく冴えないOLかと思いきや内面はかなり生意気で穿っていて、かずきが作るロケットに便乗して一発儲けようとしたりする辺りが最高。彼らの何気ないやり取り、その空気感が読んでて非常に楽しいです。1冊完結という限られたリソースの中で、ロケットを完成させて打ち上げようとするまでの顛末を、スピード感を落とさずに上手くまとめてあるのが素晴らしいです。」

    「候補作品の中でも最も「引力」の強かった一冊。独創性の一言では表現しきれないストーリーの妙もさることながら、なにより最後まで一気に読ませる力強さは圧巻。気付いたら、あっという間に最後まで動き回るかずきとカナエを追いかけていた。決して絵がうまいわけでない。それなのに、少ない線、音を表す言葉の独特な挿入によって、しっかりと登場人物の動きと感情が伝わってくる。暗闇のシーンにおける、黒と白の効果的かつ端的な活用。そして、それらと対照的な、鮮烈な打ち上げシーン。是非ともマンガ大賞を通じて、多くの漫画ファンがこの作品と出会ってほしい。」

    「パッと見は平凡で、でも変わり者で、素直に感情移入できるわけじゃないのに引き込まれる、そんな不思議な魅力がどのキャラクターからもあふれていて、何度も読みたくなる。このマンガの中に入りたい感じと言うか。」

    「絵柄だけを見た時想像するのは、さらっとしたキャラクターやストーリーだが、実際はそれとはまるで違う、熱っぽくて勢いのあるエンタメが展開していくのがいい。食い合わせの妙というか、よい意味での違和感があることが、この作品を個性的で魅力的なものにしていると思う。」

    「一次選考で投票していたので、ノミネートされていて、とても嬉しかったです!「漫画好きな誰かに薦めたい」というコンセプトに、今年最も当てはまると思います。まず絵が好きすぎる。線が味わい深くて、独特でずっと見ていられます。ちょっと癖がある登場人物たちも皆、可愛い。映画みたいに誰かと共有して、語りたくなるような作品です。もっとたくさんの人にこの作品が読んでもらえますように♪ヒュ~イヒュ~イ♪」

    「「画」での好き嫌いはあるものの、「才能」の迸りを感じる。グイグイ読ませます!」

    「昨夜読んだこの「目の前をものすごい勢いで転がっていった物語」が、通勤中の自転車の上で、仕事の合間のトイレで、コンビニのお釣り待ちの時間で、何度もフラッシュバックしてくるので、たいへん困っています。仕方ないので、ふたりが「我ら」になっていくのを、特等席で何度も楽しみたいと思います。」

    「休日の夜、少し酔っ払いながら、静かで小さな薄暗い誰もいない部屋で、アンビエントな音楽を小音量で流しながら、ソファに寝っ転がって読みたくなるような、とても素敵な漫画。」

    「めちゃくちゃカッコいい!ぬぼーっとしたかずきがだんだんイケメンに見えてくるから不思議。キャラの一人一人が魅力的でマンガの中では描かれていない部分も気になるし、こういうところが物語に奥行きを持たせている。優れた作品に出会うと、マンガ以外の媒体でも見てみたいと思う。これは絶対映画化してほしい。今までこの作品を知らなかった私のバカッ!と思うのと同時に、こうやって未知の作品に出会うきっかけを作ってくれるマンガ大賞に感謝!」

    「荒削りなところるもだけれど、とにかく一途な登場人物。青春小説のような読後感。」

    「去年出会えた作品のなかで一番の感動を得た作品!一巻完結物好きとしてたくさんの方に勧めたいです。最初はひねくれ系マンガかな...と思いきや主人公含めてどんどんキャラを好きになっていき、最終的には泣きながら応援してしまった。独特の絵柄と構成もすごくよく、一冊の宝物に出会えた気分です。また読み直したい。」

    「やっぱり今年一番のヒット作です。映像ではなく、マンガだからこそのドラマ、ラストの余韻が味わえると思います。ありふれた日常から始まって、メインのふたりが突拍子もない夢を手繰りよせていく感じには胸が熱くなりました。前半のゆるさから中盤のキャラクターにまつわるストーリー、そして後半のスピード感、そのなかでメインのふたりの魅力が深まり、そしてあのラスト。一巻完結作品ですが、なんだろう、この充実感。自分が夢を叶えた訳じゃないのに、不思議と手応えを感じます。この作品に出会えてよかったです。文句なしで一位です。」

    「たった1巻の中にいろいろが要素がぎゅうぎゅうに詰まっていて、ものすごく食べ応えがあるお菓子みたいでした。美味しいし、栄養価高いし、腹持ちもイイ!本当はすごく好きなのに「趣味なんで」とか言い訳しながら何かやってる大人にはとくに読んで欲しいと思いました。「くすぶってる大人向け」と言ったら変かもしれませんが、大人たちが背中を押してもらえるマンガであることは間違いないです。」

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