選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2018ノミネート作品

『凪のお暇』コナリ ミサト

  • 凪のお暇 2 (A.L.C. DX)

  • 選考員コメント・1次選考

    「読めば読むほど、自分にも覚えのある感覚のオンパレード!「空気を読む」という言葉自体の息苦しさが可愛い絵柄で軽減されているかと思いきや、その愛らしい世界の中に広がるナチュラルな毒でかえってえぐってくるというギャップにすっかり完敗です。ラブコメ、生活の知恵ネタ、凪の内面の闘い、すべての配分のバランスがとれているので、凪の苦しみに共感して悶えてしまうようなところがあっても、その後にやさしいエピソードがあったりして後味が悪くならないところも良かったです。1巻発売前から単行本化を心待ちにしており、発売からは個人的に購入して友人に配りまくりました。そう言う意味で、昨年のわたしの中で「友達にオススメしたい」というこのマンガ大賞の趣旨に一番合致した作品です。」

    「とにかく引き込まれました。「空気を読んでいた」つもりで追い込まれてしまった女子がすべてを捨てて一からやり直す話、かと思っていたら大間違い。この作品凄いですよ。」

    「いままでいそうでいなかったヒロイン像に釘付け。脇を固めるキャラたちの濃さ(というかめんどくささ)も最高。今後の展開が楽しみでなりません!」

    「秋田書店の女性誌ってなんだか昔から独特の魅力があります。こういう傾向だから好き、とは明確に言えないんですが(語彙力)。本作もなんだか、いいんです。主人公の凪は、空気を読むことに必死になりすぎて、 過呼吸でぶっ倒れた28歳。 会社をやめて東京都下の片隅で取りあえずは貯金が尽きるまでとリセット生活をはじめたわけですが、パワハラな元彼はおしかけるは、隣人は人誑しの自由人だはで、結構大変。「タイプ違いの選べないくらい素敵男子2人から求愛され、どっちも好きになっちゃった私、モテモテで困る、どうしよう??」がティーン女子向け少女マンガの鉄板骨子ですが、本作はその構造を換骨奪胎していて、残念だけど実際はこうだよね?感が凄まじい。そしてそれがやたら物悲しくもおもしろい。だけどもきっとこの先、なんらかの救いや希望が描かれそうで、今後の展開から目が離せません。」

    「主人公に感情移入して読み進めていたのに登場人物たちのひとりひとりいろんな裏のストーリーを知り最初はなんだこいつ!と思った人の印象が変わり、まんまとだんだん好きに...面白いなあ」

    「あーいるいるこういうキャラ的ステレオタイプな描写からの裏切りが心地よい感じ。二面性からのさらに深堀り!みたいな展開も毎回作者の思惑通りに続き気になっちゃう。結果的にどのキャラもとても人間味があっていい。いろんな気持ちが本当の気持ち(c長嶋有)だし。絶妙に古い感じの漫符も個人的にツボ!」

    「ルールがあるわけではないのに毎年一作はラブコメを推している私ですが、今季はこの作品を挙げたいと思います。他人の目が気になって本当の気持ちを伝えることができないって、SNS全盛の昨今は多くの人にとってあるある!な気持ちなんじゃないかなと思います。見せる自分と見せたくない自分、なりたい自分と素の自分、作り物の自分を窮屈に感じるときもあるけど、こっちのが生きやすい、こうでありたいと思う気持ちはニセものじゃない。じゃあ、どの部分が本物?なんて考え出したらキリがない。主人公の女の子が作り物のの自分に疲れて少し社会から離れて人生を休憩する、というところから始まるストーリー。無い物ねだりで無理をして、彼氏もまた結局は似たもの同士で、すれ違うところもまた同じ。でも、似てるからって、本当の気持ちを伝えたからって、同じぶきっちょだからって、結ばれるわけじゃないんですよねえ。あー、あるあるすぎて自分のことのように苦しいです(笑)読んでる側からすると、丸裸にされたキャラクターを愛さずにはいられないかも。等身大の悩みを抱えるみんなを応援しています。傍観者、求む!!」

    「場の空気を読むのは大切ですが、読みすぎた凪が崩壊し、徐々に変わっていく姿に共感できる人多いはず。」

    「主人公の凪は会社も家も、パワハラ気味の彼氏もぜーんぶリセットして心機一転。自由で、とらわれない自分を手にしたはずなのに、気づけば次のしがらみに巻き込まれてる。脱力系ゆるふわ作品だと油断してると、ヒリヒリ痛い。誰にでも、ひとつやふたつはあるであろう、"黒歴史"がガンガンよみがえる。さっさと手を切ったほうが良さそうなのに、どうもムダにチャーミングな男性陣に惑わされることなく、なんとか幸せになっていただきたいと願っています。凪ちゃんに、幸あれ!」

    選考員コメント・2次選考

    「タッチの軽やかさがとてもいいです。」

    「出てくるキャラクター全てにクセがあり、どうとってもみんな幸せになりそう感じがないのだが・・・結構、元カレがクズとの意見も見るが、凪も流されすぎ・・お互いなにか一つ素直になっていれば慎二も凪も上手くいってたのにと第三者視点で見て楽しんでます。やはり他人の不幸は蜜の味なのかこの二人の上手くいかなさが面白いです。慎二が諦めて絡まなくなったら凪にはお暇ではなく日常になるのだろうなと」

    「これはきっとこうだ、と思ったことは、見方が違えばまったくちがったものになる。それをおそろしい精度で見せつけてくれるマンガ。普段そういった物語はあまり好まないのだけれど、このマンガはおもしろい。あ、凪ちゃん。○○さんはやめておいたほうがいいとおもうよ......。」

    「女心、男心、どちらも勉強になります。傷口えぐられますが。」

    「出てくる男性の見事なクズっぷり。。。慎二の実は好きだけど優しくできない感じは意地悪を通り越しちゃってるし、ゴンの優しさも天然過ぎてたちが悪いし。。。凪ちゃんせっかく変わるために頑張ってるんだから、そこ!大事なそこをふんばろうよー!」

    「やっと素の自分が出せる場所が見つかったと思ったら...落ちてく落ちてく凪ちゃんから目が離せない。いろんな登場人物の裏の面、背後が見えてくると人はぱっとでは判断できないと思い知らされるまんまと最初は嫌いだった慎二が今では大好きに...」

    「せかせかと忙しなく過ぎていく日々ですが、一旦リセットして新しい環境に身を置いてみたい気持ちもある。でもなかなかどうして...、と思っていたところにこの作品ですよ。凪ちゃんの、試行錯誤ながらも前に進もうとする様子を応援しつつ、実生活にも活かしていきたいところ。コナリミサト先生の作品には、常にそこはかとないやさしさとあたたかさがつまっているので、気持ちに余裕がなくなった時のための常備薬としておすすめいたします。」

    「この漫画をジャンル分けするなら、なに漫画になるのかなと考えてみました。1人の女性が自分の生き方を見つめ直すことが主題でありながら恋愛漫画でもあり、生活豆知識や暮らしの楽しみを見つける漫画でもある。結果、明確にジャンル分けできないのがこの漫画の魅力だなと思いました。凪の性格や生き方に共感しまくってしまう人もいるでしょう。また、まったく共感できない人もいるでしょう。そのどちらもの人が「面白い」と言って読んでいるこの作品。ジャンル分けできない側面がたくさんあるということは、読む人読む人がまったく違う楽しみ方を出来る漫画なのではないかと思います。わたしはこの漫画が好き過ぎて何人かの友人に買って配りましたが、みんなからそれぞれ違った感想が返ってきたのがその証拠です。今度はこのマンガ大賞から読者さんが増え、たくさんの方のいろんな感想がもっと聞けたらいいなと思います。」

    「恋と生活、というよりも生活の中の恋の位置、という感じ。陳腐な物言いだが人には表と裏があり、善悪もまだらに存在するのが世の常なんだなあと読みながら思った。それを丁寧に、ある局面だけでなく両方を描き、光のあたる方へ寄り添って描かれる部分にホッとした。でも、続きはどうなんだ、という気持ちもあったり......。ともかく、薦められなければ読まなかったと思うので、そう言う意味でマンガ大賞ありがとう!的な選考となりました。」

    「最初の方は凪にも我聞くんにもイライラして、我聞くんはタコ殴りにしたいと思ってたんですが、2巻では我聞くんの心情が分かって、やっぱりタコ殴りにしたいと思いました。この小3野郎...。凪はだんだんかわいく見えてきた。うららちゃんの話泣けました。ゴンさんは好きです。初登場時から好きです。が、どうやら地獄の予感...?続きが楽しみでわくわくしています。コメントが小学生の作文みたいですみません。小3野郎は私でした。」

    「凪がもがいている姿が、たまらなく愛しい。要所要所でしっかりカタルシスを感じられるところも素晴らしいと思います。個人的には作中に登場する料理が美味しそうなのが特にポイント高いですね。」

    「彼氏の酷い一言がきっかけで、過呼吸に。会社を辞め、ワンルームのアパートに引っ越し、失業保険をもらいながら始めた節約生活。ちょっとした食のアイデアや生活の知恵はまるで伊東家の食卓のよう。そして恋愛も隣人と元彼との関係がどうなるのかとても気になる。魅力的な登場人物が沢山登場し、誰もがみんなそれぞれの個性を放っている。ある種、日常をここまで切り取ったような漫画はそうそうないのでは?」

    「ゆるふわに描いているけれど、実は結構ヘビーな話。『解ってはいてもやめられない』をやめたは良いものの、確実に限界が来る『お暇』生活なので、憧れはしても真似出来ないからヒリヒリする。人生リセット、やってみたいけど無理だな、と思いながら読んでます。」

    「周りの空気を読みすぎちゃう主人公の凪ちゃんが会社を辞め全てを捨ててお暇中のお話。絵がキャッチーで可愛くて、キャラクターも個性的なのですが、こういう人達いる!!空気を読みすぎて疲れちゃうときあるよね、馴染めないときあるよね、こんなダメな奴いるよね、そういう言い方する人いるよね、いい子だなぁ、ちゃんと言わなきゃ伝わらないよこのモラハラ男!!...ととても共感できます。それから、凪ちゃんの簡単節約レシピが載っているのも嬉しい!白菜とツナの煮浸しや土鍋丸ごとプリンなど実際に作って食べてます♪」

    「誠実に、素直に生きても、あゝ幸福はつかめない......。心地よい所へ着地するかと思えば、暗い深淵へ落ちてゆく。このままならなさが、クラクラするほどもどかしく、ヒリヒリするほどスリリング。登場する料理もシンプルでうまそう!」

    「ドラマ化されたら、面白いですね。テンポが心地よいです。」

    「空気を読むのに疲れて人間関係すべてリセットした主人公が人生をリスタートさせる話、かと思いきや......なんだこれ?主人公も元カレもラブコメなのに闇抱えすぎだろ。もちろんラブコメでも暗い心は出てくるが、たいていはライバルに対する気持ちだ。でもそうじゃない。心の闇。辛い。なのにラブコメ。このバランスが凄い。笑った後に思う。気持ちはちゃんと口に出して伝えよう。」

    「これはもうとにかく、凪にがんばってほしい!応援したくなる。そしてそれは、本当は読者が自分自身を応援したい気持ちなのではないか。」

    「ああ~~~こういう奴いる~~~!!と叫びまくりました。人生グラグラな凪ちゃんの姿にイライラしたりハラハラしたり。あとレシピが秀逸です。真似します。」

    「空気を読む、人に合わせる、凪のような人は結構いるはず。これほどまで、主人公に共感できて、感情移入できる作品は最近なかった気がします。」

    「今、一番人に薦めたい作品です。自分と向き合って一からやり直す事を決めたのに、周りの人に振り回される。凄く身につまされる話。」

    「正直ノミネートされた時は、えっと思いました。ただ、読んだら変わりました。この漫画の絵が苦手で、売れてましたが読む気になりませんでした。今回ノミネートされたので読みましたが、今まで読んでなくて後悔しました。主人公の葛藤だったり、ちょっとしたことがなぜか自分のことのように入ってきて、一気に読んでしまいました。絵だけで読まなかったことに反省しました。この作品に思い当たるもの、みんなあるんじゃないかと思います。」

    「ありきたりな日常にある"残酷な空気"の切り取り方がえげつなくリアルで、読むのがつらくて応援したくなって、圧倒的に面白い!フィクションでは収まらないリアリティナンバーワンのタイトルです。物語は主人公とウザい元彼の関係から始まり、登場人物たちの弱さや、表と裏をどこまでも丁寧に描いてあるのですが、伝わってくる感情の揺らぎは本当にリアルです。読んでいて驚くのは、主人公の凪(たち)は弱い自分を認めて、凹んで凹み抜いて、墓穴を掘って掘りぬいて、そうして物語が進むにつれ、実は彼らは逃げているのではなく自分を守るために戦い抜こうとしているんだな、と気づかされることです。そうすると今度はポジティブとネガティブの境界線てなんだろう、とか考えさせられて読んでいる方も悶えるわけです。多分10年前でも10年後でもなく、現代でしか表現できない事象が集約されているのでは?と思えるマンガです。」

    「凪がお暇の間に本当の自分探しをできるのか。笑いあり、涙あり、口の中にハートあり。凪の人生リセットを応援したくなる作品です。」

    「「面白いもの+面白いもの=面白いもの」という感じで、面白いです(笑)この方程式が成り立つのは、案外難しいものだと思っているので、とても良いバランスで成り立っている作品だという印象を受けました。老若男女楽しめると思います。」

    「出てくるキャラクターみんなが大好きです。アクが強くて、一筋縄ではいかなくて、でも愛すべき人達ですよね。みんな本当に作品世界の中で生きているなあと思います。主人公・凪ちゃんの性格(空気を読みすぎてしまう)は、いまを生きる人達の多くが密かに抱える悩みだとも思うので、それがどう変化していくのか、今後の展開がとても楽しみです。」

    「3巻が出て、ますますヒロイン・凪から目が離せない。隣の自由人への執着や、どうやら毒母らしい凪のお母さん、元彼の家庭の事情など、問題山積み。凪だって完璧ないいひとではないわけで、自分の恋に夢中になりすぎて反対隣に住むかわいがってた小学生の女の子にぜんぜんかまわなくなったというエピソードが痛くていい。4巻はこの感情の泥沼から抜け出せるか?が読みどころでしょうか。凪の節約レシピもおいしそうでお得感あります。」

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