選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2012ノミネート作品

『昭和元禄落語心中』雲田はるこ

  • 昭和元禄落語心中(2) (KCx(ITAN))

  • 「「かわいさ」は作れるし色々な方向性があるけれども、「色気」は作ったらばれる、だが色々な方向性がある。人が併せ持つ「色気」を存分に味わわせてくれる作品。数ある落語作品の中でも群を抜いた面白さ。今後の展開が楽しみです。」

    「刑務所帰りの男が落語家入門こんな設定のテレビドラマ前に見た事が・・・だから何なんだ・・・そんな事は関係なく「昭和元禄 落語心中」は面白い。この漫画を読んでいくうちに何となく「昭和元禄 落語心中」と言うタイトルが相応しいものであり、何となくタイトルの意味が分かってくるように思える。」

    「落語家という設定ではなく、落語という芸の狂気のようなものを描くために設定された登場人物という印象を受けます。伝統芸能でも、血統重視でチームプレイ、完成された型があり、名前を継ぐということは型を継ぐことでもある歌舞伎とは違い、落語は血縁のない弟子をとり、しかも芸風は個人で違い、名前を継いでも型は継がず一代限りで終わる落語の世界。まだ1巻で、素人の主人公を通して読者に落語の世界を紹介する程度ですが、それでもこの先訪れるであろう芸に対する狂気がもれていて、ぞくぞくします。落語のシーンも、表情と字のフォント、仕草のみなのにちゃんと語りが伝わってくる。個人的に圧倒的存在感で今年一番面白かった漫画。」

    「作品の出来栄え(ストーリー&画)がいい!というだけでなく、作中「落語」を本当にうまく「漫画化」「表現」 、できていると思います。その先生の手腕は凄すぎる~!!!」

    「雲田さんの絵が好きです。70年代のおとめちっくまんが風の独特のお洒落感と温かさがなんともいえない。BL 作品も大好きです。胸きゅん設定なんです。それが、ここか、ここなのか、この題材なのか、と驚愕。落語、お好きだったんですね。作家さんの井戸って深いわあ。汲めども尽きぬ、ですね。師匠が色っぽすぎます。」

    「芸事の「粋」が存分に味わえる作品!なんにせよ、何事かを極めようとする人たちのもっている「艶気」には、立ちうつすべはありません。はあ、いいわあ。高座の場面なんかもう、鳥肌もの。」

    「個人的に、BL作品から大好きな雲田さん。どこか懐かしいようで新しく、少女マンガ風の可愛らしい作品を描く方が現れたなと思っていましたが、こちらは作品全体に漂う独特の色気がまた良いなぁと思いました。ほんものの落語をきいてみたくなりますね。」

    「読み始めはどうしてもドラマ『タイガー&ドラゴン』のイメージが強いが、八雲師匠のドSキャラとふと見せる弱さ、亡くなった助六との関係性、過去等どんどん物語に引き込まれる。わんこで真っ直ぐすぎる与太郎に救われている部分と成長ぶり、次巻以降の八雲と助六の過去話も楽しみ」

    「一般誌から声のかかるボーイズラブ作家がどんどん増えている今日この頃だが、その中でも 2011 年の話題作。もっとも、ボーイズラブファンからすれば、雲田はるこが面白いのは、何を今さらだったりするわけだが。本作でも遺憾なくその才能が発揮されている。とにかくキャラクターが艶っぽいのがたまらない。」

    「女性の描く飄々とした絵の感じと、少女マンガ的なコマ割りが、とても落語の世界を表現するのに合っている。これは目からウロコだった。落語の味というものを書体を変えたりして表現しているのもうまくいっている。」

    「ストーリーとしてはちょっとひっかかる点もありますが、落語世界を丹念に「人」から描くことに挑戦している感じがして、とても気になる作品です。」

    「におうようなエロティシズム、凜としたたたずまい、諧謔あふれる性格......。落語家が本質的に持っている不思議な魅力を、うまく表現して読ませる。」

    「淡々としつつも息を飲むような落語の描写。見惚れること間違いなし。美しい奇跡の出会い、とは程遠い、孤独ながらも惹かれ合う運命。が刹那的である。」

    「おもしろかったです。なかなか手に取ってもらいにくい題材をうまく描いておられて、作品の中に吸い込まれていきます。これからの展開、そしてこの作家さんの将来、とっても楽しみです!」

    「圧倒的なネーム力で、今年もっとも時間を忘れて読み浸った作品。他ジャンルの芸術を作中に盛り込むには手腕が問われるが、その点においてしばらく金字塔となりそう。なにしろ落語が聞いてみたくなるのだ。ざくざくした描線も名調子!」

    「音楽漫画の批評で「紙面から音楽が聞こえてくる」というフレーズがよく使われるますが、この作品はまさに「紙面から噺が聞こえてくる」!声色、声のトーン、声の大きさ、そういったものが本当に聞こえてきます。それだけでもう十分すごい。内容も落語という芸事の魔性に魅せられた人間の狂気が伝わってきて、緊張感が切れません。粗筋だけをいえばムショ上がりのチンピラが慰問公演で聞いた落語に惚れ込んで弟子入りするというテンプレートの見本みたいなものですが、」

    「まさに落語調で展開される、リズミカルなセリフと大胆な構図。さまざまな感情論が絡み合い、無限のドラマが日本文化を交えて生成される点で天晴!な一冊。」

    「候補に上がるまでまったくノーマークでしたが、読み始めてグングンくる確かなキタコレ感。いいなぁこれ、キャラも空間も。定期的にページを開いて訪れたくなります。ああ、これが「粋」ってやつかい。」

    「この作者が描く「喜怒哀楽」に色気があって好き。本当によい絵だと思う。与太郎と小夏の話が、さあこれからって時に過去編に突入し、ちょいとつんのめりましたが、若き日の八雲と助六の話がまたよくて、今度は現在に帰って来たくなくなる。おそらくこの作品、真の面白さはまだまだこれからで、今投票すべきかと悩むのですが......どうせもっと面白くなるんだから、細けェことは抜きで!」

    「落語とそれに関わる人々の粋な雰囲気に酔えました。」

    「いいストーリーマンガは、いつも知らなかった何かを教えてくれる。その「何か」とは情報であり、感情である。僕の好みのマンガは、情報や感情が込められたキャラクターの有り様を土台に「生き様」を切り出していくような作品だ。落語をテーマにした本作は、刑務所に収監されていた元チンピラの「与太郎」が、慰問落語会で一度落語を聞いただけの噺家に押しかけ、弟子入りするところから物語は始まる。物語は徒弟制度という、違う思いを抱く人間同士が家族のように同居する枠組みのなかで展開する。物語もさることながら、本作の素晴らしさは、落語の面白さを情報を伝えるだけでなくワクワクさせてくれること。読むと素直に「落語って楽しそう!」「寄席に行きたい!」という気持ちになる。もちろんマンガとしての面白さも十二分だが、ふだんマンガを読まない方もきっと楽しめるはず。とりわけ落語好きや、小説でも宮部みゆき作品、浅田次郎作品などがお好きな方はぜひどうぞ!」

    「か、かわいい!この男の子かわいいよ!ってページをバラララララとめくる速度で主人公に惚れ込んでしまいました。他のどのキャラクターもとても魅力的。1 巻の最後はあったかい涙が出ました。まだ始まったばかりの物語ですが、この先がとても楽しみです。最初、「落語の話か~」などと読まず嫌いをしていたあの頃の私をタコ殴りにしたいです」。

    「雲田はるこさんのマンガは、人物がとても魅力的。特にこの作品は八雲師匠に心を奪われた方も多いのではないでしょうか。だから、与太郎と同じ目線で師匠の落語に夢中になれる。師匠のこれまでの人生が気になってしょうがない...というところで過去編に突入という物語の流れが心憎い。そしてこれを読んだ方はみんな思ったことでしょう。「寄席に行ってみたい!」と。」

    「『四月は君の嘘』を読むまでは確実に1位にするつもりでした。ひとつだけ気になったことがあったので2位に。それは『助六の落語シーン』。絵から感じるものすごいスピード感とネームを読みこなすスピード感とのギャップがどうもしっくりこなかったんです...『八雲の落語シーン』はスピードがピッタリくるのですがね。裏を返せば、それだけ雲田さんの魅せる力がものすごいってことの証明になるのですが。このシーンのスピード感のギャップ以外は完ぺきだと思います。う~~~~ん、惜しい!」

    「雲田さんの絵が好きです。70年代のおとめちっくまんが風の独特のお洒落感と温かさがなんともいえない。BL 作品も大好きです。胸きゅん設定なんです。それが、ここか、ここなのか、この題材なのか、と驚愕。落語、お好きだったんですね。作家さんの井戸って深いわあ。汲めども尽きぬ、ですね。師匠が色っぽすぎます。思わず、去年の夏は円山応挙の幽霊画を観にいってしまいました。まんがとしてはまだまだ序盤だと思うのですが今後の展開に期待を込めて。」

    「「和」の素晴らしさと「人物」の魅力にじわりじわり引き込まれてハマりました。各々の想いがどんな形になって行くのか和の世界の美しさと共に漫画ならではの味わいを楽しんで読みたい作品です。寄席で落語を見たくなりました。」

    「2011 年の漫画の傾向がわりと「和」って感じだったので、それを代表する作品として選んでみました。芸事に生きる人の色っぽさって一体なんなんですかね。高座の凛と張りつめる空気、寄席でわく観客、交錯する人々の感情、ここまで軽やかにぎっしりと表現してしまう、雲田せんせいの力量に脱帽。次巻も超楽しみにしております!」

    「美味しいイタリアンの漫画や書物を読むとイタリアンを食べに出掛けたくなる。映画でワインを飲むシーンがあるとワインを飲みの出掛けたくたくなる。この漫画は「落語家」の熱を伝えてくれて寄席にいきたくなる。そんな漫画です。そして、実際に寄席へいっちゃいました。今まで敷居が高いと思い込んでいた落語が、お腹から笑えてこんなに庶民に根付いているなんて!小学生から90歳のおじいちゃんまでみんなで笑える空間が楽しくってなりませんでした。この漫画はもっと根深い話しなのですがその中で落語の楽しさがびしびし伝わってくる。 いきたくなる。もっともっと、たくさんの方が読んでもっともっと、この古典芸能に足を運んでもっともっと、みんながすかっとすればいいのに。そんな、気持ちのいい漫画です。」

    「スピードが速すぎてもったいない、けど色気が。」

    「作品内容(ストーリー)もさることながら、にじみ出る雰囲気が堪らない!落語を上手く漫画表現できているところは素晴らしい!」

    「刑務所帰りの男が落語家入門こんな設定のテレビドラマ前に見た事が・・・だから何なんだ・・・そんな事は関係なく「昭和元禄 落語心中」は面白い。この漫画を読んでいくうちに何となく「昭和元禄 落語心中」と言うタイトルが相応いものであり、何となくタイトルの意味が分かってくるように思える。レコード会社 営業/阿部 大介主人公が弟子入りする名人・有楽亭八雲の、品、艶、すごみに参りました。狷介孤高な感じもグー。人によってイメージする落語家は違うかも知れませんが、以前よく聴いていた円生を聴き返したくてたまらなくなりました。」

    「落語を題材にした期待の大きい作品。キャラクタ設定が雑な印象があって、気になるが楽しめる。」

    「こんなにも惚れこめる仕事(人)に出会えるなんて素敵だなぁと思ったマンガです。まっすぐ落語に向かう姿は見習わなきゃなと思わされました。私も今の仕事最初の気持ちでまっすぐ向き合わなきゃと重ね合わせてみたりしながら読みました」

    「個人的には最も好みの作品。まだ2巻までしか出てないので小児は早いかもしれないが、将来の大賞候補作としてつばをつけとく。芸人としての執念と人間としてのエゴがないまぜになった八雲師匠のキャラ造形が秀逸。」

    「落語という世界、・時代設定、すべてが楽しめるマンガです。主人公のキャラクターがなぜか気持ちいい。すっと、入り込める一冊です。」

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