選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2018ノミネート作品

『とんがり帽子のアトリエ』白浜 鴎

  • とんがり帽子のアトリエ(2) (モーニングコミックス)

  • 選考員コメント・1次選考

    「圧倒的な世界観と、その世界をさらに広げる画力の素晴らしさ。他にあまり見ない、そして漫画だからこそ活きる「描く」魔法という設定の良さもさることながら、智慧で道を切り拓く主人公の描き方も説得力がありました。どんどん読まれて欲しい作品です。」

    「緻密な絵と魔法の世界に魅せられる新進気鋭の漫画。絵は何度も見てしまうほど独創的で、アートブックと位置づけることもできる(実際画集がセットになっているのが購入動機になるほど)。お話は魔法使い見習いの少女ココの成長物語を基礎としているが、最初からずっとある不穏な空気がこの漫画を支配していて、大きな絶望へと繋がりそうな怖さを秘めている。だが、その悲しさこそがこの作品の骨を作っている。壮大な中盤へと進みそうでとても楽しみだ。」

    「初めて使う魔法にワクワクする気持ちが抑えきれない主人公。「知らざる者」だからこそ出来るようになる喜びに溢れていて、縛られない発想にドキドキします。魔法使いの弟子の4人で作った「ドラゴンをダメにするクッション」にはクスリと笑ってしまいました。」

    「繊細で不思議な建物の造形や風景、魅力的なキャラクター、作り込まれた魔方陣や道具の設定、それらを取り巻く不思議に満ちた世界観。どれもこれもとても丁寧に作られていて、心が別の世界につれていかれる気がします。魔法の世界にどっぷり浸りたい人におすすめのマンガ。魔方陣の設定だけでご飯三杯は行けますよ。」

    「ココやアガットたちが悩んだり試したりするさまをみて、この世界の「魔法」って、絵だったり歌だったり、何となく私たちの身の回りにある、いろんな表現活動と似てるなァと思ったりしました。ひとくちに魔法といっても各々で得手不得手が違い、魔法でできることできないこと、その才能への各々の向き合い方などがこのマンガではさまざまに描かれています。王道ファンタジーと謳われていますが、アイディアがあるけど基礎がない。上手だけど華がない、など、自分で何かを表現することに関わったことのある人にとっては、とてもリアルなイロイロがこのマンガには沢山詰まっている様に感じました。当代屈指の美しい絵柄で、隅々まで丁寧に作り上げられた世界で、こんなに活きたお話が読めることに感動です。」

    「まず第一話の物語の密度が凄まじく、読んだ瞬間に引き込まれてめちゃくちゃわくわくしたのを覚えています。ミもフタもない言い方をすると、魔女っこ奮闘記ですが、こういうファンタジー待ってました!と興奮しました。一話からこんなにたっぷりで大丈夫!?と心配しましたけど、既に出ている2巻まで勢いもそのままに、ますます展開が楽しみです。個人的に、ファンタジー作品を楽しく読むための重要な要素の一つに「ストーリーの進むスピード」があると思っているあのですが、こちらは世界観に置いてけぼりになることもなく、かといってもたつくこともなく、おいしく食べられるタイミングで提供されるコース料理のような、絶妙な物語の進み具合が素晴らしいです。主人公の女の子の純粋なキャラクターもとても魅力的で、読んでいるこちらも素直に応援したくなります。それと絵の綺麗さも抜群です!もうファンタジーの優等生と言っても過言ではないと思います。普段なら優等生と聞くと身構えてしまうほうですが(笑)、ここまでよくできていると胸を張って推さないわけにはいきません。普段こういうジャンル苦手だなと感じている人にこそお勧めしたいです。好きなら言わんをや。」

    「魔法の世界を素敵に描いた作品。絵のテイストと世界観が好感を持てます。まだ拙い魔法を勉強中の子どもたちが一つずつ魔法を覚えていき、失敗し、学んでいく姿がいいですね。子どもながらの魔法の使い方も面白いです!」

    選考員コメント・2次選考

    「非常に緻密なタッチ。計算された構図は芸術的でもあります。それもそのはず、作者の白浜さんは東京藝術大学デザイン科卒。美しい絵柄に見とれてしまいます。ストーリーは王道ファンタジー。ところどころの今風な表現がなければ、古典作品なのかなと思ってしまうほどの安心感があります。誰にでも進められる、とても素敵なマンガです。」

    「これはこれは、面白い魔法の話がでてきたものです。特別なインクで正確に書いて魔法が使えるが、それぞれ得意不得意があって、そんなところも今までにない新鮮な物語だと思いました。」

    「久々に王道ファンタジーな物語を読んだ気がする。異世界転生が多すぎて魔法の価値が下がっていたような気がするが、やっぱり魔法は隠されたもので、一部のものしか使えずが王道。そして、それを何も知らないものに使わせて悪事?を企む組織のような存在 こういうファンタジーを読みたかった。一緒にいる仲間のキャラクターも王道。安心して読め、薦められる一冊。」

    「あらたなファンタジーの書き手がまたひとり出てきたなあ、と続きを楽しみにしているマンガ。物語が動き出すのが楽しみ。」

    「王道ファンタジー、まだまだ世の中にはまんがをうまく書ける方がたくさん残っていらっしゃるのだと感じました。 魔法使いと竜とまさに王道! この作品はまだまだじっくりと時間をかけて書いていってほしい作品です。 背景含めその画力のすごさも魅力です。」

    「ぐいぐいと引き込まれる画力とストーリーにワクワクしながら読んでいます。」

    「外国の絵本みたいな美しさ。すべてのコマが緻密で丁寧で美しい。じーっとガン見しながら読み進めました。キーフリー先生好きです。」

    「これを選ぶしかない!と思わせる構成力と虚構の説得力。画面の持つ力が素晴らしいです。止め絵でも流れのある絵は、それに気づいた時少し背筋がぞくりとしたほど。続きを楽しみにしています!」

    「緻密な絵と魔法の世界に魅せられる新進気鋭作。絵は何度も見てしまうほど独創的、アートブックと位置づけることもできる(実際画集がセットになっているのが購入動機になるほどの出来)。お話は魔法使い見習いの少女ココの成長物語を基礎としてはいるが、最初からずっとある不穏な空気がどうにも怖く、大きな絶望へと繋がりそうでハラハラしてしまう。だが、その悲しさこそがこの作品の真骨頂。壮大な中盤へと進みそうでとても楽しみ。」

    「テーマは「魔法」という、超王道を行く正統派ファンタジー。本作を読んで「そもそもマンガとはファンタジーである」ということを改めて思い出した。この作品は「魔法」「ファンタジー」をとうに忘れた読者を作中に引きずり込み、没頭させてくれる世界観がある。細密な画風も物語の世界にピタリと合うし、どんな魔法がどのように発動するのか、ディテールがわかる自然な説明もとても親切。作中における「魔法」とはある意味ではハイテク。魔法使用場面の高揚感は最新テクノロジーを詰め込んだギアに出会った時のようでもある。「魔法なんて」「ファンタジーとかいうガラじゃない」と作品を遠ざける前に、まずは読んでどっぷり作品世界に浸っていただきたい。」

    「建物や背景、設定や世界観など、すべてが魔法に丁寧で美しく、読んでいると別の世界に迷い込んで旅をしているような感覚に陥ります。魔法の設定も細かくて楽しいし、未熟な魔法使いである主人公があきらめず、発想の力でいろいろなことを乗り越える姿も痛快。わくわくするのに心地いい。魔法にかかったような不思議な感覚をもたらしてくれるマンガです。」

    「魔法使いと見習いのお話ですが、まず白浜鴎先生の画力に驚きました。背景の緻密さや人物の柔らかさ、色使いも素敵で惹き込まれましたした。またストーリーも絵本のようにわかりやすくて、それでいて今後の展開も大いに期待させられる作品でした。「"生きる"ことより教えるのが上手い先生はいない」など大切な事を学べる事も漫画として作品として好感が持てます。まだ理解は出来なくても子供にも読んでもらいたい作品だと思いました。続きも非常に期待しております!」

    「描写が細かい絵柄で選考作品でなければ手に取らなかったかもしれない。伏線がつながっていくだろう物語の展開と少女たちの関わり合いや成長がどうなるのか期待したい。」

    「作者がイラストレーターということで、絵が綺麗でファンタジーの世界観に合っている。絵だけでなくストーリーも続きが気になる。」

    「今作における「魔法」というものが、我々がいまいる世界のなかの色々なものと重なるなァと思ってやみません。たとえば、魔法陣に必要な円を描くのがうまいとか、描くのが早いとか、あるいは組み合わせ方が独特だとか。それは料理とか、歌とか絵とか、私たちの日常にあるものの得手不得手、スタイル、才能に似ていると思うのです。基礎も何もないけど、気持ちだけで魔法の世界に飛び込んでいくココの姿は色んなことを始めてやってみる、へたっぴなときの私たちのようにも見えます。精緻で温かい画風で描かれていながら、どこか不穏な空気も漂う世界で、ココがどう成長して行くのか、沢山の人に見まもってほしいと思います。」

    「絵本の中で繰り広げららているようなファンタジーで、読んでいて次のページめくるのが楽しみで仕方がないです。まだ巻数が浅く、もしかしたら物足りないかもしれないですが、巻数が多くなるにつれてもっとファンタジー感が増し読後感がすごい作品になってくれそう。」

    「子供の頃に読んでいた海外のジュブナイル小説を彷彿とさせる、オーソドックスながら完成度の高い物語。老若男女全ての世代にお薦めできる漫画です。」

    「読み返してみても、今年を代表する一作だと思います。等身大のキャラクター達はとても身近に感じられますし、テンポのよいストーリー展開はファンタジー慣れしていない方でもぐいぐい世界へ引き込んでくれます。ファンタジー大好きな私は、魔法に憧れる気持ち、忘れてたなあ、なんて初心に返りました。魔法使いの成長譚なんてたいへんな王道ですが、王道ゆえにありそうでなかった題材でもあり、上記の魅力を支える美しい作画もあいまって、たくさんの人の心にまっすぐ届く作品だと思います。」

    「キャラクター、ストーリー、ヴィジュアル、設定、全てが素敵!なファンタジー!迷わず投票です。」

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