選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2017一次選考作品

『ちひろさん』安田弘之

  • ちひろさん 5 (A.L.C.DX)

  • 「人生を諦め、サボっている人の話かと思ったら、とんでもありませんでした。つかみどころなくフラフラしている様に見えて、ちゃんと自分の信念を持って生きている。自分と、他人と、独特のやり方で精一杯向き合うちひろさんの姿に、ただただ憧れを抱き、心を打たれました。平凡な日常を綴っている風でありながら、そこにはいつでも激情に溢れたドラマが存在し、続き、続き!と一気に読んでしまう面白さがあります。漫画の中のちひろさんを通じて常に自分自身と向き合う感じがあり、決して楽な気持ちでは読めません。けれど、読んでいてどこか心が楽になっていく瞬間も確かに存在し、相反する感情がなんだか心地いい不思議。読み手によって捉え方が様々で、人それぞれに違った面白さが見出せそうな、いい意味で「変」な漫画です。また、(この様なことをベテランである安田先生に言うのは非常に失礼なのですが)一見、最近流行りの楽に描かれたゆる?い絵に見えますが、全くそんなことはありません。書き込みが非常に丁寧であり、構図の取り方が美しく考え抜かれ、かつシンプルで見やすく、漫画という表現媒体として最高峰であると感じます。コマ割と構図で魅せる!これぞ本当に面白く、人におすすめしたい「漫画」と言える作品です。」

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