選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞2015ノミネート作品

『ドミトリーともきんす』高野文子


ドミトリーともきんす

選考員コメント・1次選考

「この本の面白さを文章で表現するのは大変難しい。科学を漫画で、しかもやさしくわかりやすく解説するのだが、とにかくユニーク。斬新。まったりとした母と子の独特のテンポ。いつまでもこの世界に浸っていたい。」

「わ?すごい! 最高でした。昨年、新刊合わせでラジオにご出演されて、前作の「黄色い本」で自分を出しすぎたので、いままでで一番客観的に主観にならないように描いた的なことをお話されたのがとても印象的でした。私はむしろ、作者がいままででもっとも自分の願望を丸出しにだだ漏れにした、「渾身の科学者萌えのMY同人誌☆」に読めたのです(ごめんなさい)。ともきんすの家主の女性(=ヒロインの立ち位置、と読めた)は、夫不在で小さな子供を抱えた母で、それぞれの部屋に男性の素敵な科学者が住んでいて、でも彼らとは特に恋愛関係にはならなくて、一定の距離感を保ったまま同居して、平穏におさんどんをして、ちょっとした科学の不思議に見舞われつつ暮らす......ってまさに、ある種のひとにとっては、新手の恋愛シュミレーションゲームっていうか、むしろその関係性と立ち位置って夢ですよね、ああ、わかります!萌え~って読んでしまったのです。だけど、じつは私が感じたのと真逆の思考でこうなったんですね、ととても驚きました。その自我のありかたも含めて天才です。」

「刊行当時、本書の出版にかかわりがある立場だったために、あまり大きな声は出せないが、やはり高野さんの単行本が出たのは「事件」でしょう。とにかく、ペンの選び方からトーンの張り方、吹き出しの配置まで、何もかも完璧に計算しつくされた画面作りはすごいの一言。絵が少し昔に戻ってかわいくなったのもうれしい。」

「発売以来、じわじわと認知度を上げてきている"まぎれもなく面白い"。......が、科学フィクションエッセイ、どんなジャンルに入れていいのかわかりませんし、好き嫌いもあるとは思います。だがこの科学エッセイ(風)マンガをマンガ大賞2015の選考員のみなさんがどう評価するのか知りたい一心で票を投じさせていただきます。」

「軽妙洒脱。楽しい。そして1コマ1コマが美しい。
紹介されている科学エッセイも一緒に紐解きながらゆっくり味わいながら読むのが良いかも。」

「高名な科学者たちを下宿住まいの学生に描き、彼らのエッセイを紹介するユニークな読書指南コミック。高野文子にしか作れない世界がここにはある。」

選考員コメント・2次選考

「別格。軽妙洒脱。1コマ1コマが美しい。
科学エッセイも一緒に紐解きつつ、
ゆっくり味わいながら読みたい。」

「難解で、ちょっととっつきにくいこの作品に票を入れるのは、賛否両論あるとは思う。
でもこれは、理系の学者たちの言葉の表現の豊かさに、マンガ家として対抗しようとしている感じの意欲作。
この意欲はマンガを絶対に進化させるはず。」

「科学と聞くと身構えてしまうレベルの文系人間ですが、その出発点は世界に対する素朴な「なぜ?」の気持ちなのかも。子供のころの純粋な知的好奇心をもう一度抱かせてくれる、絵本のような漫画でした。」

「漫画の可能性を軽やかに拡げてみせる才人の筆遣いに感服。独創的なクリエイターはたくさんいても、柔らかさと説得力のある創作はさほど多くはない。」