選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞2014大賞作品

『乙嫁語り』森薫


乙嫁語り 6巻 (ビームコミックス)

選考員コメント・1次選考

「遊牧民のお話し。現代社会の中で無くなっていたものがこの物語を通して蘇ります。誇りと尊敬と厳しさと愛。それを書き込まれた美しい画が伝えてくれます。」

「丁寧な描写と、非常に豊かなキャラクターの表情や動きで、遠い世界のお話なのに、臨場感を持って楽しめます。舞台である19世紀の中央アジアは、ロシアの影響をこれから強く受ける時代に入っていきます。話中でもそのあたりを含んだ台詞もありますので、今後どのような展開をしていくのか、楽しみです。もちろんタイトルの「乙嫁」の生き様が中心となると思いますので、次にどんな素敵な「乙嫁」が出てくるのかにも期待しています。」

「一年に一回の刊行なので毎年ドキドキしてますw去年までだと、双子の話。やんちゃな双子をとおして、出会うことの無い文化に出会えたことに感謝します!」

「昨年に続いて推薦します。いつ取ってもおかしくないと誰もが思っているはず。あとはタイミングと巡り合わせの問題でしょうか......。」

「広大な草原で問う家族の物語......かと思いきや、最新刊で見せた、部族間との抗争。シンプルに生きることだけを考えた時代の人々は、作者の筆致と見事に合致し、新しい物語を我々に紡いでくれる。」

「広大な大地に生きる人々の生活が、本当にあったように感じられる、ゆったりとした物語。余すとこなく描き切る画力が素晴らしいです。」

選考員コメント・2次選考

「中央アジアを舞台にした独特の世界観、多彩な登場人物、変化のある物語。どれをとっても魅力的。巻数を重ねるごとに味が出ているのも良い。発展した日本が失ったものも描かれているように思う。」

「今回の候補作の中では、なんというか〝マンガ的貫禄〟の大きさでこの作品に敵うものはないと感じます。『エマ』の時もそうでしたが、私たちが見たことも聞いたこともない19世紀中央アジアの村に、あっという間に連れ去ってくれる作者の描写力と妄想力の凄さたるや...。しかもそれが「ファンタジー」でないことに毎巻舌を巻くばかりです。」

「一人一人のキャラクターが躍動感にあふれていて、「生きてる」感じが強く伝わってくる作品です。作品の時代・場所などの背景が馴染みの薄いところですが、そのことを超えて、登場人物それぞれが、普通に、悩みながら、あるいは必死に生きている、ということが私を作品世界に引き込んでくれます。また、細部の書き込みの緻密さが、作品によりリアリティーを与えています。」

「「絵と話の両方が魅力的だ」と一言で片付けるのは簡単だけれど、この作品ほどそれを体現している作品はない。絵は時に台詞を一切必要としないほど雄弁に、キャラクターの暮らす風土や人物の心情の機微を描き、ストーリーは日常の小さな喜びから戦争の大きな悲しみまでを丁寧に紡いで、キャラクターたちの人生を体験させてくれる。じれったいほど初々しい恋も、狩ってさばいて料理して食べる命の営みも、すべてが魅力的!」

「毎巻、画力パワーに圧倒されています。それにひけをとらないストーリーも秀悦。6巻がでたばかりなのに、もう次が気になる!とっても続きが気になって仕方ないマンガって、最高のマンガの条件だと思います。」

「豪奢にして華麗、一方でチャーミングで活き活きとしたキャラクター。双子のライラとレイリの結婚式は、本当に楽しかった。」

「緻密で繊細に紡がれたストーリーと絵がまるでタペストリーのよう。素晴らしい!取り扱っているテーマ・時代はややマニアックですが、そこに描き出される人間の姿には現代人にも訴えかけるものがあると思います。とにかく登場人物たち一人一人が人間くさくてキラキラしていて魅力的です。」

「ゆったりすすんでいた物語が新刊で急展開。目が離せません。圧巻の生活描写はあいかわらず素晴らしいのひとこと。」

「今の人間が読み取れなくなったものを当時の現地の人たちは聞いて触って感じてきたんでしょう。人間も自然の一部として生きている人たち。分かっていてもそう思えない自分に対して、それを教えてくれたマンガです。」

「連続ノミネート中で、だいぶ熟してきた頃合かと思いますので。「どうしても今年」というわけではないですが、そうこういっているうちに機を逸するのも何かなと思いますので。」

「ここに描かれている感情は、今の日本には無いものだと思います。でもこの漫画があるから。よかったです。子供から大人まで、たくさんの人に読んでもらいたい。大人の人はきっと、「自分の子供に読ませたい」とも思うんじゃないかなあ。それから、本に挟まっている読者アンケートはがきが森薫さんお手製なのでいつもほっこりします。」

「人物から背景まで、細かい描写に、森薫の世界が広がる。中央アジアの生活風景が、手に取るようにわかるのがすごい。」

「一年に一度の中央アジアへの旅を楽しみにしています。美しい絵と文化、ハラハラする展開が楽しみです。」

「1巻から6巻まで一気読みしてみたが、紙の上に描かれてある全ての線が美しく、力強く、あまりの生命密度に目眩がした。この作者、こんなに刺繍とか描いて病気にならないんだろうか? ならないんだろうな。」

「エントリー常連でありながら大賞未獲得の作品であり個人的には、ここで大賞でないなら殿堂入りとして特別審査員に回っていただくかをしないと、選考規定にある八巻以内を満たすまで一次選考に残り続けるであろう作品ではないかと。惹きつけるストーリー・細密画のような絵・躍動感溢れる描写・愛すべきキャラクターとこれ以上ないくらいの作品なので、今回で堂々の受賞であって欲しい。」

「結局迷いました。毎年一票の重みがあるなかで、そうだやっぱり最初に思った通りのものにしようとおもいました。そういえば焼き飯は自分で作ってみましたよ。平皿で蓋してさ。読み続けてると自分は馬にも上手に乗れるし弓も達人級。最後には山羊にも乗れてしまう気になっています。」

「書店員の立場からすると、もう十分に売れている作品は商売としてすでに上手くいっているので、どうしてもマイナーな作品に表を入れてしまいたくなる。 賞をとることによって道が開ける事を祈ってしまう。 森薫さんは、マンガ読みにとっては神の如き作家さんだ。それにもう十分に売れていると思う。 しかし、普段マンガを読むことのない人にとってみたら無名かもしれない。そんな人にマンガの凄さをしらしめるために、森さんにマンガ大賞を取ってもらいたい。」

「対象を愛し抜く心と、「こう描きたい」を完璧に紙の上に再現できる画力、手を動かし続け妥協なく描き切る情熱。作者のそんな漫画家魂が、ページを開くたびにキラキラとこぼれ落ちるような作品。カルルクとアミル夫婦のピュアだけどそこはかとなくエロティックな感じのさじ加減も絶妙!」

「雄大な自然の中で丁寧な暮らしを営む人々。自然や他の生物とともに暮らす毎日の中で、争うのは人間ばかり。そんな最新巻で、より「人として生きていくこと」を問いかけている気がします。動物や布、食べ物など画面のすべてを穴が開くまで見ていたい、そんな作品。」

「すっごい描き込みだわと作品を読み始めて、描き込みとさることながらアミルさんの可愛さや中央アジアの人々の生活や考え方に引き込まれて読み続けていた作品なのですが、最新巻ではアミルの親族との戦いがおこってしまいます。今までの幸せただよう流れが変わったけどやっぱり引き込まれる。どうしてこの作者さんは生まれ育ったことのないはるか遠い国の人々の心理をここまでしっかりと描写できるのだろう...次が楽しみでなりません。」

「どんどん引き込まれていきました。人気コミックなのが凄く納得です。続きが早く読みたいです。」

「アクションも日常描写もどちらも魅力的。どちらかというと日常の描写が好みだが、最新刊はアクションもカッコいいし、ドラマ的にアミルの実家との悶着に区切りがついて読み応えがあった。カルルクがだんだんとオトナになってきたので、次巻が楽しみである。」

「鉄板だし、他の人が絶賛するし、私が言わずともこの作品の素晴らしさは誰もが認めるところだから。そう判っていても、やはり最後は入れずにはおられませんでした。森薫という稀有な才能が生み出してくれたこの絵物語を、今味わえる至福と言ったら...!一瞬の切り取り方。世界の捉え方。他人の目を通じてそれらを見ているのに、我が事として捉えられるのはマンガという表現ならではと、この著者の表現力ならではと、しみじみ感じざるを得ません。白旗、です。この物語の最後まで読めたら、それはひとつの幸福だと思う。そう信じます。」

「なんで、20才すぎから30才すぎぐらいまでに結婚するのが、一般的だとされているのか。そもそも、恋愛結婚がなんとなくベターなカンジがするのがどうしてか。そういや、ネクタイをしていればなんで正装なのか、ご存知ですか?
あくまでイギリスのある時期の紳士がそういうことをしていて、イギリス人は嘘をつかない、と当時言われていたから、ネクタイは、嘘をつきませんよー、という証拠なんですって。だから、アレjはイギリス人のコスプレなんだと。......とまぁ、私達はわりと、それほど大層な理由のない常識にしばられていまして。

 そこで、この「乙嫁語り」!

 家族がわっしわしと大人数で暮らし、当たり前のように借りをして、祭りの際には大騒ぎしながら羊をさばいて、娘さんは頬を染めたりしながら布を縫う...!それを「当たり前」の顔をして、登場人物みんなが、飲み込んでいきます。その姿に、我々が生きられたかもしれない、人間の可能性をビンビンに感じてしまうのです。

 でもそれも、驚異的な、中央アジアと遊牧民への興味と愛情と、それを画面に実現する驚異的な、技術と熱量があったればこそ!!!ある大ヒット、マンガ家さんのスタジオのモットーが「コストの高いものを提供する」と聞いて、あー、マスプロダクト、一つのものが大量に複製されて世の中に届けられる人として、これこそあるべき姿!と思っていたのですが、まさに、その実践型!!」

「大好きです。」

「2013年に新刊が出ているイメージが、あまり無かったのですが、1月発売だったのですね。それを踏まえて、改めて読み直しましたが、やはり圧倒的な描き込み具合に、ただただ溜め息が出ます。」

「仕事がたてこみすぎてて、しんどくて、何もかも放り出したくなったとき、手にとって読み始めると、一瞬で別世界に連れて行ってくれる。弱気になったときに開けば、背中をポンと押してくれる。落ち込んだときに読み返せば、明日はきっといいことがあると信じさせてくれる。強くて凜とした、とてつもなくチャーミングな嫁たちと、ものすごく旨そうなごはんが次々登場。元気な友達にも、元気じゃない友達にも捧げたい。」

「巻を進めても衰えない、むしろパワーアップし続ける「描きたいものへの愛」に脱帽しっぱなしです。「描き手の幸せ」と「読み手の幸せ」がここまで交差する漫画は稀有ではないでしょうか。」

「今回あらためて読みなおしてみて、絵の濃密さと、それに勝るとも劣らない話の筋の素晴らしさ、この2点を共有している稀有な作品であることを再確認した。シルクロード好きとしては目の離せない作品です。」

「以前のマンガ大賞でも投票したが絵も話も綺麗でやっぱり良い。」

「森薫さんの作品はいつも美しい!生き生きと描かれる動物たち、繊細に表現される織物、透き通るばかりの大自然。緻密な絵柄も、作品の魅力を否が応でも高めてくれます。もちろん、ストーリーも引き込まれます。19世紀中央アジアに暮らす天真爛漫な花嫁アミル(20歳)と夫カルルク(12歳)をはじめ、乙嫁となる女性たちの生き様は、作品を華やかに彩ってくれます。その一方、せまりくる歴史の足音には、その後の流れを知るだけに、切なくなってしまいます。せめてその幸せが少しでも続きますように、という祈るばかりです。」

「アミルのお兄ちゃんがカッコよすぎる!これからの展開に期待しています。」

「衣、食、住が、私たちよりもっと直接的に生きることと結びついている広大な大地での生活。まず、細部まで描かれた、その日常の生活の輝きに驚かされる。その日常も、平穏で静かな日々が変わらず続くわけではない。突然押し寄せてくる戦火。この一大叙事詩は、マンガの地平をグングン切り開き続けている。」

「絵の力がものすごい。単に美しいのみならず、風が、匂いが、歌が、まざまざと感じられ、五感のすべてが揺さぶられる。すごい。」

「外国の観光客に「なにかオススメはないか?」と尋ねられたら必ず薦める作品です。圧倒的な作者の想いが、念がこもったその描写と表現力。決して手を抜かない、一本一本の線にまで気持ちがこめられた本作、言葉がなくても通じる作品と思っていますし、実際に試し読みされた外国のお客様は必ず買っていきます。この作品が読めることは本当に幸せです。」