選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞2014ノミネート作品

『足摺り水族館』panpanya


足摺り水族館

選考員コメント・1次選考

「ネオガロ系!?すごい新人があらわれた!シュルレアリスムと日本漫画の悪魔合体!誰かの夢の中をさまようような浮遊感とリアリズムが脳内をぐんにゃりと曲げる!最高です!」

「読んでるうちに現実と空想が混在する不思議な世界観とその独特な画風に引き込まれ、まるで自分も異世界にトリップしたような感覚に。目に映るものの正体がつかめずに好奇心と恐怖が入り混じってた幼少期の頃のあの何とも言えない感覚というかノスタルジーに襲われました。すごい。」

「2013年、出会えて一番嬉しかった漫画。奇妙で空想的にもかかわらず、驚異的なリアリティを感じる。どこかへ、我々を連れて行ってくれる。」

「読んだ直後の自分のtwitterから転載。番号はtweetした順番です。1)は1回目のtweet、計5回にわけてtweetしています。1)いや、ありきたりな言葉で申し訳ないですが、すごいものを読んでしまった。まさか40を越えて、これだけ新しいものが読める、今迄知らなかったものが読めるとは思いませんでした。2) ラフな感じで描かれたキャラクター、抑揚があるんだかないんだか読めないリアクション、一方で緻密に描かれた背景、その世界。子供の頃、知らないものに触れた瞬間、途惑いみたいなものを思い起こさせます。3) 一番言ってはいけない表現なような気がしますが、わかりやすい表現として、その見た感じに「ねじ式」っぽさを感じる人がいるかもしれません。でもなんでしょうね、この作品、なんとくかわいいんですよ。登場人物が。そこが違うと言うか...。4)「見捨てられたもの/忘れられたもの/新しすぎたもの」 帯のアオリとなっているコメントですが、すごく共感できます。5)知らないものに触れた、なにか思い出せそうなそうでないようなものに触れた、疑問や不安、ドキドキ感、そんな様々なものが混じった不思議な感じ。そんな作品です。機会あればぜひ読んでください。」

「圧倒的な世界構築力。書籍のかたちで持っておきたい。」

選考員コメント・2次選考

「マンガ大賞にはこういうインディペンデントなものを推してほしいと思う。」

「いつか私の友人がpanpanya氏の同人誌を指してこう称したことがある。「コミティアの白い恋人」と。なるほどこれは言い得て妙と思わず膝を叩いたものだ。北海道といえば白い恋人。コミティアといえばpanpanya。小脇にに抱えて歩けば帰りの国際展示場までの無駄に長いコンコースを歩くその足取りも、浮かんばかりに軽やかになるものだ。その反面、手に入れられなかったときの足取りたるや・・・。私、ASOVACE、2度買い逃してますからね。もう、それこそ両の足を引き摺る思い・・・そう、そんなこんなで足摺り水族館。同人誌版足摺り水族館とASOVACE(一日に二冊つくるのが限界という、たまげた本)の合本である。作家pnpanyaの初期作品集という位置づけになるだろうか。デビュー作にして初期作品集。はっきり言ってマニアックである。しかも唯一無二最強の個性を放っている。表紙からして、ちかごろでは古本屋でしかお目にかかれないようなビニル製のカバー。さらに直流通。何だこれ、である。何だこれ、が漫画好きの多くの支持を集めてここまで勝ち進んできた。これは是非ともこのまま大賞を掴んでほしい。最高に面白いことになる予感がする。」

「なんとなくかわいい、愛らしい、ラフな感じで描かれたキャラクター、抑揚があるんだかないんだか読めないリアクション、一方で緻密に描かれた背景、その世界。子供の頃、知らないものに触れた瞬間、戸惑いみたいなものを思い起こさせます。「見捨てられたもの/忘れられたもの/新しすぎたもの」 帯のアオリとなっているコメントですが、すごく共感できます。知らないものに触れた、なにか思い出せそうなそうでないようなものに触れた、疑問や不安、ドキドキ感、そんな様々なものが混じった不思議な感じ。そんな作品。良いモノに出会えました。」

「「SF研究会」の頃から、「ASOVACE」や旧版の「足摺り水族館」まで同人誌を買っていて、リアルに友人にオススメしてきたので、そのまま投票します。」

「久方ぶりにノスタルジックな気持ちにさせてくれる本に出会った。どこがいいの?と訊かれてどう答えていいのかわからないのだが良いんだなぁ。この感じ。こんな気持ちになったのはつげ義春を読んだ以来かもしれない。いろんな人に薦めたいのだがまずはこの気持ち共有できそうな人から薦めてみよう。」

「独創的なイマジネーションを昇華し、ビジュアルとテキストで読者を異空間へ誘うファンタジー集。造本に対するこだわりも嬉しい。」

「絵のタッチが現実と非現実の区別を曖昧にし、まるで作者の脳内景色を散歩するような気分。疑ってかかるかのような言葉遊びにも頭をくすぐられ、そのうち女のコも可愛く見えるようになってきたらもう虜。」

「古き良きサブカル的タッチを想起させるが、古く見えながらもタッチなどに新しさも。さぞかし面倒だったであろう装丁の細やかな気遣いなど、描き手と版元がこの作品に込めた愛情がひしひしと感じられる。オビにある「見捨てられたもの/忘れられたもの/新しすぎたもの」とはこのマンガ自体のことのようにも感じられるし、読者である僕らに訴えかけたメッセージょのようでもある。僕らはどこから来てどこに行くのか。」

「路地を、記憶を使って細部まで描こうとすればするほど、幻想的な雰囲気になってしまう。 わら半紙のような紙に印刷されているのも独特の雰囲気を生み出している。 そんな雰囲気重視の作品集。 深く考えずに気楽に楽しもう。」

「絶妙なアングラ感がたまらない。妄想と現実の間の気持ちいいところをついてきます。ディフォルメされた可愛いやつから超リアルなやつまで、作中には色々な魚が出てくるので魚好きとしては嬉しい限り。あと装丁が凝っていてこれまた素敵。」

「うたた寝の中、夢とわかってみている夢のような、とても印象に残る一作でした。こういうマンガにひょいっと出会えるって幸せですね。」

「このマンガ読んでると、心細いような、わくわくするような、ささやかな冒険をしてるような気になってきます。冒険の舞台は一見不思議で難解な世界のようにみえるのですが、どこか懐かしくて居心地よいので、とても落ち着くのです。癒しのSFといった感じで、静かに一人過ごす夜にうってつけの漫画です。」

「「つげ義春っぽいなあ...」と最初は期待せず(失礼)読み始めましたが、「完全商店街」でおっ?と思い、「新しい世界」で背筋が伸び、「イノセントワールド」で白旗あげて降参しました。こういう作品に出会えるからマンガ大賞はやめられない。ただ私の感じた気持ちよさ、面白さは世代的なもの(あるいはマンガ経験値による)かもしれず、万人受けするとは到底思えないのですが...。本当はあまりお勧めしたくない、自分だけの宝物にしておきたい本です。」