選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞2012一次選考作品

『さよならさよなら、またあした』シギサワカヤ


「「さよなら」は別れの言葉で、言ったら最後、それっきりになってしまうことだってあったりして、どこかに寂しさも漂ってしまうけれど、「またあした」とつけることで、言葉には未来を信じる希望が満ちて、心を前向きにしてくれる。シギサワカヤの「さよならさよなら、またあした」はだから、とっても前向きな物語。先天性の心臓疾患で20歳まで生きられないと言われていた育という少女。高校の卒業式で教師に結婚してといきなり告白して10年ほど。病弱ながらも命を保っている育は、平穏に過ぎる今日を生き抜いて、明日またやってくる今日という日を生き抜こうとする。当たり前のように毎日を送っている多くの人間には気がつけない、熱くて切ない今日という日への想いを感じさせ、かけがえのない生というものへの意識を芽生えさせる物語。最後に見せられるエピソードで、もうこれまでかなんて思わされるけれど、それでも凄絶なまでに生への思いを叫ぶ育の姿に、負けられない、逃げられないという思いを持たされる。ドラマチックでもなく、悲劇のオンパレードでもない静かな展開。だからこそにじみ出る心情がある。」