選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞2012一次選考作品

『乙嫁語り』森薫


「去年の大賞作『三月のライオン』とほぼ同等で迷っていました。でも今年は迷いません!」

「この話の舞台が、他にはない世界・時代である点がまず新鮮でよいと思います。また、登場人物が全然現代的な感覚でしゃべらない所が作品によりリアリティを与えていると思います。最近はマンガだけでなく小説や TV ドラマなどでも、歴史物なのにやたらと自分の思いばかりセリフにしてしゃべる(しかも現代人みたいな意見を)作品が多い中で、作者が本当によく時代背景を咀嚼して書いているんだなあと感じます。」

「去年も一押しだったのですが、今年ももっと多くの方にこの作品を読んでほしいと思い、推薦します。19世紀の中央アジアが舞台ということで敷居が高いように思われがちですが、絵も美しくかなり読み心地の良い傑作です。3 巻に入って新章突入。シルクロードに暮らす彼らの生活にも変化が訪れます。これ程作品内の世界に没頭できる作品も稀なので、是非呼んだことのない方には手に取っていただきたい作品です。」

「鮮明な「静」と「動」がよりストーリーやキャラクターを際立たせています。」

「「乙嫁語り」の舞台は、19 世紀の中央アジア、カスピ海周辺の草原地帯。遊牧民の娘・アミルは、もう 20 歳。手違いで、12 歳の男の子・カカルクに嫁いでしまいます。8 歳離れた姉さん女房カップル。さらには、アミルの部族がとある事情で、彼女を取り返しにきたり......と新婚夫婦に危機が訪れます。" 部族違い&年齢違いの恋 " の行方やいかに?このふたりの物語かと思いきや、2、3巻と進むにつれ、じつは主役の「嫁」が入れ替わるという趣向。羊飼いの未亡人に、パン焼きが上手な女の子......「嫁」たちの幸せが読者的には最大の関心事ですが、見所は他にも。圧倒的な画力で描く、炊事、狩り、牧畜、洗濯、馬乗り......日常描写が圧倒的に素晴らしい。ほぼアシスタントなしで、作者の森さんが自ら描いているのだそう。うっとりと心ゆくまで眺めたくなるまんがです。」