選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞2012一次選考作品

『エリア51』久正人


「パッツと見の印象はスマートでスタイリッシュ。影絵のようで切り絵のようでもあって、ホワイトとシルエットで描かれるキャラクターも背景も、構築的過ぎて何が描かれているのかにまず迷い、描かれているものに心を近付けるのに少し戸惑い、物語の世界へと入り込んでいけない。けれども、読んでいくうちにそのシルエット、そのフォルムで描かれているものが誰で、どういう表情をしているのかが、だんだんと分かってくるから不思議なもの。目が慣れたのか、慣れるようにし向けてあるのか。いずれにしても、気が付くとその絵に目を引きつけられ、その物語に心を奪われている。魔物や妖怪の類が集められたアメリカ51番目の州、エリア51という場所を舞台に起こる、エキサイティングでハードボイルドな出来事を描いた久正人の『エリア51』。女性探偵のマッコイが、細いウエストに張り出した胸に長い髪、抜群のスタイルと愛嬌のある美貌を持ちながら、手にはコルトガバメントを持ち飛び回り、危険とあらばぶっ放して、事件を解決していく姿に惚れる。彼女が稼いだ金をその身に惜しげもなく注ぎ込む理由は何で、原因は何で、どんな結果が待ち受けているのか。だからこそ急いで生きてやり遂げようとしている何かの正体は。果てに待ち受けている運命が、いささかの哀しみを帯びたものだとしても、救われる可能性を信じて読み続けたい。」