選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2012ノミネート作品

『高杉さん家のおべんとう』柳原望

  • 高杉さん家のおべんとう 4 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

  • 「博士号は取得した後、紆余曲折を経てようやく大学に職を得た主人公・高杉温巳と、従妹の女子中学生久留里との二人暮らしの間をゆっくりと時間が過ぎていく。空回りしがちな温巳と無口な久留里とは、「特売品じゃないものをおかずに出すということは、特別な日というコト」という風に思いを伝え合う。二人の共通の思い出は温巳にとっては伯母にあたる久留里の母の美哉。ちょっとしたときに「美哉ちゃんだったらどうしていただろう」と思い出しながら、その答えをおべんとうという形で表すのが各話の定番の流れ。出てくる人物たちがとても温かい。心がぽかぽかする作品です。」

    「実力派は少年誌でも実力派だった。」

    「誰かが作ってくれたものは本当においしい、という気持ちを読むたびに強く思い出させてくれる作品です。出てくる食べ物自体の味よりも(もちろんまずそうという意味ではないです)、私のために考えて作ってくれるからこそのおいしさってありますよね。」

    「普通のハートピュア料理系漫画かと思ったら、意外な展開でハラハラして飽きない。キャラクターを一緒に応援したり心配したり、読み進めるほど面白くなります。」

    「コミュニケーションにそれぞれ難を抱えた30男と女子中学生が、お弁当をはじめとする「食」を通じて心を通わせる展開にムフフ、逆にズレがあらわになる描写にニマニマ、と楽しませてくれる。キャラクターの間の距離感の揺れ動きを描く作者のさじ加減が絶妙。」

    「料理って奥深いなと感じます。毎日のことで当たり前に過ぎてしまっている食べること作ることをあらためて考えることができた作品です。主人公の二人が少しずつ歩み寄っていく姿がほっこりさせられます。」

    「昨年に引き続いて一次選考から一押しです。大学の職という不安定な立場にありながら研究熱心な主人公・高杉温巳は、無口な従妹の女子中学生久留里と、おべんとうや料理を通じてコミュニケーション。間をつなぐのは、温巳にとっては伯母にあたり久留里の母である今は亡き美哉。一日一日を大切に過ごしている二人とその周りの人々にとても癒されます。人と人がどのようにつながっていくのか、そんなテーマも見え隠れします。それにしても、久留里の友だちは「アンファンテリブル」(恐るべき子どもたち)ばかり。大人顔負けの洞察力を持つ香山なつ希や超複雑な家庭事情で培われた高度なコミュニケーションスキルを有する丸宮光には脱帽です。」

    「おべんとうを誰かが作ってくれる嬉しさに心が温かくなる作品です。今回の候補作の中でも優しさが感じられるという点で一番でした。また、地理学的な話がこの作品の進展に自然な形で生かされている点も他にはないもので、面白く感じます。」

    「個人的に今年は食と生活というものを強く意識した年だったので、食を介したコミュニケーションをテーマに描かれるこの作品を一位に推しました。清涼剤のような善人なキャラ達に癒されつつ、今後のストーリー展開もきっちり気にさせてくれるのがいい。友達の多くにおすすめできる作品です。」

    「最近こういったお話しは結構人気がありますね。 年の離れた男女がある日突然家族になって行く。 そんな中でも、一際面白くて暖かさが伝わって来るのがこちらのタイトルになります。 弊社のお客さんには男女共に人気があります。「お弁当」をきっかけにあまり話さないヒロイン久留里と、主人公温巳 ( はるみ ) はギクシャクした関係から、仲良くなって行きます。 二人で暮らして行くうちに、どんどんと明るくなっていく久留里ちゃんを見ているとなんだかお父さんになった気分で読んでいます。 読み易さと正直に久留里ちゃん萌えでこちらに入れさせて頂きます。」

    「掲載誌(の対象読者)を問わない普遍的なストーリーテリングは職人芸を感じさせる。改めて評価されるべき漫画家に違いない。」

    「設定はよくある独身青年と女子中学生の義理家族同居もの。しかし恋愛要素は限りなく薄く、同じ食事を重ねることでただの同居から家族になっていく過程が本当にゆっくり丁寧に描かれている。これが非常に説得力がある。主人公が地理学の研究者という設定も面白い。グルメ漫画は数あれど、食を通してのコミュニティー形成を主眼としている視点は新鮮。地域による白赤味噌の違いや、家庭におけるカレーの具のバリエーション等、家族間・地域間限定であればある程、連帯感覚は生まれますからね。」

    「食事づくりを通じて不器用な 2 人が徐々に家族になっていく様子がほほえましい。」

    「家族もので感動してよいのか、年の差恋愛ものとしてときめいていいのか、今後どちらに転ぶでしょう。楽しみです。そして、おなかがすきます。」

    「コミュニケーションにそれぞれ難を抱えた30男と女子中学生が、お弁当をはじめとする「食」を通じて心を通わせる展開にムフフ、逆にズレがあらわになる描写にニマニマ、と楽しませてくれる。キャラクターの間の距離感のかすかな揺れ動きを描く作者のさじ加減が絶妙。」

    「こんな風にいつもおべんとうが食べれたら、多分楽しいだろうなと思いながら読みました。読んでいて微笑ましい感じを与えてくれて、読んでいてつい顔が緩んでしまう。いいな、こんなおべんとう。」

    「正直に申し上げましょう。わたくし、この作品の内容を読み間違っておりました。そうなのです。柳原望先生 ( 以下敬称略 ) に『おべんとう』といわれたからといって、それが単純に、「わーいお弁当つくるよー」的な作品な訳、なかったのです。主人公は、地理学の博士の資格を持つ高杉 温巳 (31 才・ただし資格はあっても無職同然 )。とある理由で中学生の姪、久留里 (12 才 ) を引き取ることになるが、いろいろと鈍い所のある上、一人暮らしが長かった温巳と、人見知りの激しい久留里 (※中学生 ) のコンビが最初からはうまくいくはずはない。( 家族に見えないため、周りからはさっそく不審者に間違われたりした... ) まず、温巳が目指したのは、母親を亡くして一人になってしまった久留里の、保護者役をきちんすることだった。それにはまず食事が肝心だ、と...。久留里も、それは同じように考えていたようで、それから二人の、お弁当&食事へのチャレンジが始まった。個人的には、温巳の地理学の知識と世界中の地理に関するお話がとても好きで、特に『へぼ祭り』(※へぼ = ハチの子 ) は『食べてみたいなあ』と思いました。あとはラオスのお話とか。ミツバチの話とか。ご飯だと『アレンジいなり寿司』とか『おかかチーズの大葉包み揚げ』でしょうか。『ソーセージの飾り切り』もポイント高いですね! ( おなかが減ってきた ) だんだん強くなる久留里に、『がんばれ!』とエールを送りつつ、お勧めします。」

    「グルメ漫画かなとおもって読んでみたら、いい方向に裏切られました。単に、お弁当を作るための情報マンガというマンガじゃないのです。お弁当や、家庭の料理をきっかけにして、登場人物たちの距離が少しづつ縮まっていく様がとっても心地よいのです。豪華な料理でドラマチックにというわけではなく、素朴であたたかい料理ですこしづつすこしづつ。人と人とのつながりってこうやって太くなって絆になってゆくのかなと。人とのつながりの大切さを実感したいすべての人におすすめのマンガです。」

    「よくある「ロリ × 萌え」系なんだろうなあと勝手に思い込んでいたら、全然違った! という一冊。お弁当を通じて浮かび上がる愛情、葛藤、家族への想い。読めば読むほどお弁当が食べたくなるし、作りたくなります。巻が進むごとに登場人物のキャラがくっきり、チャーミングになっていくのにも好感を持ちました。また、自分の中学高校時代のお昼休みの思い出と重ねあわせて、しみじみ懐かしくもあるなど、いろんな角度からの"面白い"を提供してくれる幕の内弁当的な魅力も。」

    「おべんとう。凄いものです、おべんとう。そこには愛がないと成り立たない。メッセージを渡して、空っぽのおべんとう箱で返事を出すようなやりとり。おべんとうを通して、本当の家族になっていくいろいろきゅんとくるポイントがあってじんわり好きな漫画です。私も特売大好き!」

    「結構悲惨な設定なのに悲壮感少なく力強く生きる久留里ちゃんの表情がなんともいえないなぁって。多くを語るでなく、一緒に弁当を作りご飯を食べることで通じあう関係。一番人間の本質的な事柄なのではないかと思います。『1年先、2年先はわからないけど、少なくとも明日の昼飯は何とかできる。考えて工夫して充実させることができる。ほんの少し未来を作ることができるのなら、そのまた先もそのほんの少し先もその先もきっと何かできることはある』このセリフで3位にしようと決めました。ちなみに個人的には小坂さん大好きです(笑)」

    「大学助教授男子と、中学生の姪っ子の暮らし。場所は違えど、同じごはんを食べている― ふたりが家族になっていくさまがあたたかく描かれています。主人公の職業に絡めて、郷土料理がいろいろ出てくるのも楽しい。節約にもなるお弁当のメニューバリエーションに、奥手男子をめぐる淡い恋心が絡んできていてゴハンにも人間関係も目がはなせません!」

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