選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞2012一次選考作品

『ぼくらのよあけ』今井哲也


「一読して頭に浮かんだのは「ドラえもん」。映画で言うとスタッフロールが流れた後にオマケ的に展開されるラストシーンとその余韻まで全て完璧なジュブナイルSF。」

「小学生が集まって、宇宙からやってきた人工知性を搭載した宇宙船を宇宙へと帰してあげようとする話。そう聞いて、なんて賢く聡明な小学生たちなんだろうと思ったら大間違いな今井哲也の『ぼくらのよあけ』。主人公の少年は、女の子の表情を浮かべて中空を動き、あれこれ面倒を見てくれるお手伝いロボットのオートボットが気になるんだけれど、逆にツンケンとそて言うことを聞かない反抗期。そんなオートボットに割り込むように現れた人工知性に誘われ上った団地の屋上で、人工知性から話を聞いて頑張ろうと思って行動に移しても、無茶をして知人を危険な目に合わせたりして、それを親に咎められて妙に拗ねたりする。聞き分けが悪いというか、わがままというか。つまりは"子供"な訳で、そんな子供の"今"ってやつをちゃんとしっかり描きつつ、そんな子供たちが自分たちだけでは超えられない壁を、さまざまな手段や工夫や対話を経て超えていって、そしてひとつのできごとを成し遂げる喜びが描かれる。人工知性の起動に必要なブロックを持ってる少女が、学校で他のクラスメートたちから無視をされいじめられていて、そんな無視する側にいた1人の少女が枠を超えたことをやって、たちどころにハブられていく構図とか、今あるだろう子供たちの問題をしっかり描いて、子供たちを正義にも聖人にも純粋にも収めない。それでいて突拍子もない実行力を持った子供たちがいたからこそ、成し遂げられたこともあるんだと突破を誘う。彼らの問題に目を向けさせ、その上で人類にとっての未来、人工知性の可能性なんかを教えてくれるSFコミックだ。」