選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞

『アイアムアヒーロー』花沢健吾


アイアムアヒーロー 5 (ビッグ コミックス)

「噛まれるとゾンビ化してしまうウイルス。とうとう始まってしまった大規模感染。感染後にうわ言のように 繰り返されるセリフや、追いかけてくる所作などから垣間見えてくる彼らの本来の人間性。下手なゾンビホ ラー映画よりよっぽど生々しく、恐ろしい。読んでいると焦燥感にかられてページをめくるスピードがどん どん上がっていきます。」

「とにかく黒いマンガ。」

「おもしろくなるまでが長いとこが余計に、その後をおもしろくさせる。」

「昨年はじめの段階では、その過剰にグロテスクな映像美に感嘆しつつ、心から「好き」と言えなかったが、 ヒロイン早狩比呂美が登場して俄然目が離せなくなった。特にここ最近の「鬱展開」には完全に打ちのめされ、 毎号「スピリッツ」を持つ手が(怒りで)震えるほど。はっきり言って、比呂美をあんなにした作者が憎い! しかし、面白いのだから仕方がない!」

「日常が続いている。通常、この種のホラー・パニック物は、「漂流教室」や「エデンの檻」のように異世界 に飛ばされたり、「ドラゴンヘッド」や「コッペリオン」のように一瞬で世界が核の炎に包まれたり、いき なり状況・世界が変貌して非日常になり、そこでのサバイバルのような展開になる作品が多い中で、この作 品は日常の世界が続いています。それが実際身近に起こっている出来事のようで、怖さを増幅しています。 アメリカならともかく、日本でいきなり周りの人がおかしくなったからって銃をぶっ放してゾンビを殺しま くる一般の人々って、リアリティーがないですからね。まずはパニックになる・どうしたらよいのか調べる・ とにかく避難するのが先のはず。緊張感もずっと持続したままで、さらに意外な展開や謎の人物登場など、 とにかく先が楽しみです。」

「花沢健吾は「ルサンチマン」からファンです。まず言いたいことは...花沢健吾の描く女の子は、精神的にエ ロかわいいです。さて本編ですが、グロの中にも「笑い」がある主人公のダメっぽさに苦笑しつつも、最後 まで一気に読めてしまいます。花沢作品はどれも出だしが秀逸なので、最後までこの面白さを保つことがで きるのか?この辺も見物です。」

「花沢健吾が本気でゾンビ・パニック漫画を描いている、それだけでも読む価値がある。着地点が見えないまま、 淡々と世界の崩壊とそこに立ち向かう冴えない青年を描く。安定して面白い。」

「視点による恐怖感、スピード感の演出が素晴らしいです。」

「もうすっかり認知されてますが、やっぱり好きなので……。」

「昨年4位の本作は、連載1年分をさらに重ねてその内容、ますますエスカレート。卓越した観察力に裏打ち されたパニックの描写は細部まで破綻なく、どこまでも静かにひしひしと怖い。最新5巻は、情報社会なら ではのペラペラした現実味のない怖さを執拗に描き出す。巨大掲示板サイトのカキコミとカットバックしな がら刻一刻と加速する事態の悪化にただただハラハラ。その場に居合わせたら自分の死すら傍観者的にしか 体感できないんだきっと、というやるせなさ。ゲタを履かせられていたけれど、おれたち庶民の命なんて所 詮はその程度の軽さだろ、と改めて気付かされてしまう読後感に、読み手は虚無に陥るはず。そして主人公 に(読者にも)一縷の希望をもたらした人間関係をも断ち切る非情の運命の抑えた描写には言葉もない。 テレビゲーム的な設定の世界でコミュニケーションが通じず、とことん生理的嫌悪感をかもす相手とただた だ対峙する「進撃の巨人」の戦士の絶望ももちろん読ませるが、それでも「いま・この」社会に起こりうる と思わせる逃げ場のない恐怖と、忘れかけ薄れていた生存本能をむりやり鼓舞してそれに向き合う一般人の、 アンチヒーローのかっこわるいヒーローぶりを描く本作の行方をこそ固唾をのんで見守りたい。」

「2巻以降の加速力がハンパない。」

「単なるサバイバルものの枠を超えたスケール。今後の展開の壮大さを予感させられる。」

「まだ、長く続くのかまとめにはいるのか、ありがちなようでこういう話の内容はあまりないんじゃないかと。」

「四畳半的なまったりしたオープニングからのパンデミックゾンビホラーへの急変っぷりは漫画史に名を残す 名作になる予感。先が見えな過ぎて怖い!」

「もはや単行本を待ちきれず、この作品のために毎号「スピリッツ」を買っている。個人的に2010年のベ ストワン。いわゆるひとつの「リビングデッド」ものだけれど、「人間じゃないゾンビは皆殺し!」ではなく、 主人公のヘタレ男が、人間と感染者の「境界線」にグズグズといるのが素晴らしい。そしてこの作品は「決 してかなえられない愛」についての物語でもある。すべてが英雄の妄想であるという可能性も含めて...。5 巻以後、また物語が大きく展開しており、最後に来るのは絶望か、希望か、どっちでもないのか、とにかく それを見届けるまで死ねない!」

「去年、読んだときは、正直「すごく面白いけど、巻数が進むと勢いがなくなりそう...」と思った。でも、今 年の新刊を読んでも、すごく面白いので、喜んで投票します。」

「マンガ家漫画と思いきやフロムダスクティルドーンばりの展開の落差で一気に心を鷲掴み。その後作者の twitter 見てさらにとんでもない落差を感じるのも一興。」

「花沢健吾作品の序盤に魅せる展開は、今回も秀逸。あとは終盤に向けてちゃんと着地できるか?が見物です。 今回の作品は、いつも以上に終盤の出来具合が全体の良し悪しを左右するかと思います。とりあえず5巻ま では、かなり良いです!期待を込めて、1位に推薦します。」

「途中中だるみするところもあるのですが、ぐいぐい引き込まれてしまうストーリーはすごいです。 」

「2年連続で2次選考に残ったということで、連載が1年間進んだ分の蓄積やそれによる作品世界の深まりを 考え、前回の4位を上回る評価はカタいと信じる一読者です。未読の方にとっては、ガッカリ感を懸念する ことなくグイグイ読め進められる“安心品質”であること請け合い。そんな充実ぶりを可能にしているのが、 とかくせっかちな読者に対するサービス精神のあまり、展開も作品的な消耗も早くなりがちな現在のマンガ づくりとははっきり一線を画し、じっくり腰を据え、練りに練ったストーリーを送り出そうと努める作り手 側の姿勢であることは間違いない。その良心に、読み手として感謝したいです。マンガとか小説とか映画と かの手段の違いは抜きにして、緻密で配慮が行き届いた描写と隅々まで構築された世界観を、じっくりと味 わうときのあの至福の喜びが体感できます。怖いけど。 この作品、ネットではいわゆる世紀末ものというか、 終末的な状況を描いた既知の作品を引き合いに語られているようでもありますが、たとえば「ドラゴンヘッ ド」が1990年代後半の(今にして思えば)まだまだうぶな世の中が、それゆえに抱いた「終わりへのおそれ」 を結果的に援用したのに対し、何も起こらなかった世紀の変わり目を経由したゼロ年代の無熱、無音、無感 のやるせなく醒めた空気の中でこのテーマを描いているところが本作のみそ。読み手が久しく忘れかけてい た肉体的な痛みを読みながら感じることができる。「あー、痛いってこんな感じだったよなあ」と。精神的 な痛みについてもたぶん同じことが言える。 乾いた画風がもたらす「BGMがつかない」感じ(と言うと元々 が無音のマンガの説明としては変ですが)というか、効果音も劇伴もなく、絵の中の出来事は現実を映した ようにリアルなのに、日常には普通に存在するざわめき、ノイズ、生活音だけが抜け落ちた無音空間で、淡々 と展開する惨劇が怖さを倍増させる。練られたストーリーと演出力が「絵力」に裏打ちされて、このような 作品ができあがるという実例だと思います。」

「リアルなホラーの理想形。」

「主人公を取り巻く日常をしっかりと描き、それを一気に破壊する、すさまじい展開。襲いかかるゾンビたち をどう怖く描くかがすごく考えられていて素晴らしい。しかし、本当に怖いのは、世界の変化をなかなか受 け入れようとしない、人間の愚かさだったりするところもきっちりと描いている。序盤、崩壊へ至るまでに 緻密に張り巡らされた伏線などもすごい。」

「物語は「何が起こっているのかわからない状況のまま」進んでいる。怖いけど目が離せなくなってしまう。 もし、ほんとにこんなことが起こったら自分はすぐに噛みつかれちゃいそうだなぁ...。英雄はこれからどこ に向かうんだろう?怖いけど...気になってやっぱり読んでしまうでしょう。」

「突然の世の中の変化に戸惑ったし、いきなり話が走り出してそれからずっとじわじわとしたハラハラ感。あ のなかであれだけモラルを保っている英雄はすごいと思う。この先ひろみちゃんも助かる方向でおねがいし ます。」

「2010 読んだ中で、一番ショッキングだった作品。てっきり、「ボーイズオンザラン」的なものを想像して いたが、完全なゾンビ漫画で驚き。みるのもこわいのに、先が気になって仕方ない作品。」

「ゾンビ・パニックマンガとしては、今のところ最高峰と思います。とくに五巻は、あまりにも切ない。どこ にこの物語が落ち着くのかは全然見えない。なのに続きは気になる。」

「怖い、ひたすら怖いです。」

「これだけ巻数が進んでも、緊張感が途切れず、世界観が崩壊せず、リアリティを保ったまま続いている奇跡 的な作品。素晴らしい。」

「花沢先生の描く男性のは本当に気持ち悪い。惰性にまみれた男性が、窮地で見せる潔さだからリアルとスリ ルをもって読めるんだと思う。人間の気持ち悪さ・頭に染みるような不快感を覚えながら一気に読んでしま うスリルある一作品。」

「まだこれから!という所。中々、話の核の部分を見せない所がいやらしい。2ch といったソーシャルメディ アを絡めて、今の情報化社会を映しだしたストーリーは、「もし、本当にこんなことがおきたら。。」とつい つい自分に身近な事として考えてしまう。今年一年は話が発展しそうで、非常に楽しみ。」

「こわすぎ。」