選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞

『岳』石塚真一


岳(5): 5 (BC)

「完璧です!これだけハッピーエンドとはいえない結末が多いのに心惹かれる作品はありません。現実に近いからでしょうね、きっと。自然を前にしたときヒーローは要らない。『畏れ』と『現実』を見据えればよい、そう思わせる1冊ですね。」

「山に行ってみたくなる...そんな漫画です。主人公は、山岳救助のボランティアをしている島崎三歩。救助という厳しい現場を描いたヒューマンストーリーですが、山好きの作者が描く山岳漫画でもあります。だからかもしれませんが、三歩が見ている山の風景は、すごく魅力的です。三歩と同じ光景を見てみたくなるんです。登場人物に悪人が出てこないのも魅力の1つ。人間くさくて、でも安心して読める、人に勧めたいマンガです 」

「山岳漫画は数あれど、漫画という形式でしか表現しえない、と感じたのはこの作品のみ。これほど死にゆく人々を残酷に、容赦なく描き、それでいてヒューマンな感動を失わないのはすごいこと。実写でも、活字でも、同じようには表現できまい。それはひとえに、主人公・三歩の造形によるものだと思う。」

「友達のすすめで読みましたが、どの巻を読んでも素晴らしいです。山における人間の生死が、淡々と当たり前のように描かれています。おおげさに嘆くのでもなく、悲劇的にするのでもなく、ただ人は大自然の前で死んでいくのだというその作者の死に対する姿勢が実に好もしい。」

「心洗われる山岳救助ストーリー。人はいろいろな人生を背負いながら山へ登る。ボランティアで救助活動を続けるひたむきな男、三歩が救助を通していろいろな人と出会う生き様を美しい山岳と共に描いた作品。」

「連載中の雑誌の中で安心して読めるマンガ。なんでだろーなー。自分自身がこういう冒険とか好きだから、ついついじっくりと読んでしまう。ていうか普通にかっこいい。身も心もタフな人間はやっぱりかっこいいです。読後の何とも言えないじわっ?とした味わいがたまりません。」

「当初は増刊誌での連載ながら、今や本誌で好評を博す連載とまでなった山岳レスキュー漫画。まず、熱血漢やスーパーマン的な主人公の多いレスキュー漫画の中では珍しい、飄々としながらも芯のある主人公の人物像が面白い。作品内では、漫画でありながら遭難者を救助できず死に直面するシーンも多いのだが、かといって死を劇的に扱わず、山の厳しさを描きながらも同時に山の素晴らしさをも伝えてくれる物語のバランス感覚は見事である。これが初連載でありながら、読み切り形式でこれだけ毎回クオリティの高い話を作れる作者の力量には舌を巻く。四方を山に囲まれた長野県で育ちながらも本格的な登山経験は数えるほどしかない筆者であるが、この漫画を読むたび遠くに見える八ヶ岳へと思いを馳せている。」