選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2018ノミネート作品

『映像研には手を出すな!』大童澄瞳

  • 映像研には手を出すな!(2) (ビッグコミックス)

  • 選考員コメント・1次選考

    「ニッチを深く隅々までいく。これは今後のものづくりの根になっていくと思います。「よくぞ!」と叫んでしまった。」

    「道に落ちてる手ごろなサイズの木の棒を無暗に拾ったりミヤマカラスアゲハを見つけて興奮したりするの、なんかすっごいわかる。他にも、自分の考える最強の世界を妄想するとか、子供の頃に感じたようなワクワク感が作品全体に溢れていて楽しい!部室であれこれ妄想していた3人が次のページをめくるとドーンとその世界の中に入り込んで居るっていう、まさにマンガならではの表現方法にハッとさせられたり、セリフの吹き出しにZ軸の概念をプラスして立体的に表現する手法もとても新鮮に感じられ、読んでいて驚きとワクワクが止まらない作品です。」

    「何者でもないとき、人は何者かになりたいと願う。自身が多かれ少なかれ感じた「あの時の気持ち」がまさかアニメをつくるという気持ちで表現されるなんて!と思った人がたくさんいるとかいないとか。」

    「迷路的な街とか、秘密基地ような部室とか、ワクワクする設定がたくさん詰まった舞台で、日々空想を屈託なく実行に移す主人公たち。子供の頃って、みんなこんなだったんじゃないかな。実行に移す前にリスクばかり考えるようになったのはいつ頃からか。。少年の心を凝縮したようなマンガ。子供の心を取り戻したい時にお勧めです。」

    「脱帽。小ネタやウンチクでまったり遊ぶオタサー日常ものか?と思ったら、ストレートで熱く硬派な青春成長もの。キャラ配置も抜かりなく、アニメへの愛を謳う。上手い。」

    「あまりメタ的な作品は好まないタイプなんですが、これは独特な角度からの視線が非常に愉快かつ痛快だと感じました。今後、キャラクターのパーソナルな部分も掘り下げられそうで、期待してます。」

    「これはもう良いところを挙げていけばキリがなくなるんで、とりあえず一言「めっちゃなんか創りたくなる!!!!!」クリエイター志望者増員マンガです。最高かよ?。」

    選考員コメント・2次選考

    「いいですね、このサークル内部全開的なノリ。高校時代のバイブル「究極超人あ~る」を思い出しました。前触れもなくふっと空想に遊ぶ当たり、マンガならではのシームレス感がとても心地よいです。キャラも立ちすぎ!ですが、それぞれのバックグラウンドの深掘りをこれから期待したいところです。若さの爆発がたまらないです。」

    「描写やマニアックな表現が細かすぎて完読できるか心配でした。しかし、読み始めるとスゥーっと入り込んでどっぷり浸かってしまい、結局のところハマってしまった。」

    「映像研の3人がとにかく「愛すべき3人組」って感じで、もうこの3人が話しているのをずっと聞いていたい!と思うほど魅力的。好きなことを、好きなように、徹底的にやる、っていうある種の狂気のようなエネルギーがほとばしっており、読んでいてとても爽快!一方、その姿が自分には少し眩しすぎてなんだか泣けてきたりもします。」

    「「ものづくり」への愛と執着が単純にかっこいい。2017年、最大級のエモさを感じる作品。最高かよ。」

    「映像を見た時の、生徒会書記 さかき・ソワンデのあの表情!アレを描けるのがすごいなーっと私は思いますです。映像研の三人もそうだけど、みんな何か一つ、突き抜けたものを持ってたりするし、それが発露したのを見る人の目って輝いてるんですよね。金森氏には気持ち悪いって言われそうだけど。:)」

    「内弁慶ながら「設定」に天才的なセンスをみせる浅草、カリスマ読モながら「動き」の演出に強いアニメーター志望の水崎、能弁で頭がきれて「ビジネス」にさとい金森。そんな女子高生3人が映像研究同好会を立ち上げてアニメづくりに熱中するという話。マンガやイラストなどの線画を自分で描くことに熱中した体験を隠し持っている人なら分かる、自分自身が創造主である世界に自分が遊ぶ「あの感じ」、自分の内なる世界観が現実に立ち上がってきたような「あの感じ」、つまりは妄想の楽しさが、読み進めるにつけてどんどんよみがえって盛り上がりまくるはず。たとえばテレビやネットで好んでアニメをみるほどではないものの、古くは「ヤマト」や「999」とかに始まって宮崎、庵野、さらには細田、新海作品くらいなら映画館で観る程度にはアニメに対する関心を持ち続けてきた人ならば、アニメならではの「設定」や「動き」(「金田動き」みたいなのもあったな)や「演出」を、普通の(いや、普通ではないか)高校生が自らの手で映像化していく過程にワクワク感とほのかな羨望を覚えずにはいられないだろう。膨大な蓄積をいつでもどこでも参照可能なデジタル環境に育ついまどき世代ならではの強みなのだけど、最後にモノを言うのはどんだけ「好き」であるかという古今東西変わらぬ真理が、高校生活の日常を描く中できちんと表現されている点が良いのだ。設定といえば舞台となる高校が何より素晴らしい。こんな校舎に通いたかった。」

    「青春部活モノとしてすばらしく面白いだけでなく、アニメーション映画に対する愛と理想がビンビン感じられる逸品。ハリウッドのSF・ファンタジー映画で最も重要視されているのは、キャラでも脚本でもなく「世界観」だと聞いたことがあります。世界観に圧倒的オリジナリティーがあれば、実はキャラも物語も取り替え可能。世界観とは、つまるところ「設定」と「美術」で表現される。で、そのことは、アニメにも(にこそ)ぴったり当てはまるわけです。 だから、主人公がアニメーター志望の水崎ツバメでなく、地味な設定オタクの浅草みどりなのは、極めて正しい。もう一人が、金にしか興味がないプロデューサーの金森さやかというのは、さらに正しい。確かにこの3人なら「最強の世界」を作れると信じられる。2巻のラストでは、現実に存在しないフィルムが、確かに目の前で回った気がしました。 このマンガも大好きだけれど、私はこの作者のアニメを見てみたい。」

    「何となく、マンガ家が描いたアニメーションの話というより、アニメーション作家が描いたマンガという感じがする。アニメーションならではイマジネーションの飛躍を、上手にマンガの文法に落とし込んだアイデアは斬新だ。物語は現実世界を描きながら、主人公JK3人組のアニメ設定の妄想回路がしばしばストーリーラインに侵入し、メカ設定書やイメージボードがさらりと挿入される。そしていつの間にか違和感なく元の世界に戻るのだ。彼女たちがいつかどんな創作の高みに到達するのか、それをどう描くのか、これからの展開が楽しみでならない。」

    「人物の描き方がリアル。ちょっとした仕草に人間性を込めるのが非常に上手いですね。それによって突飛な設定にもすんなり入り込むことが出来ました。説得力のある絵と少年マンガ的な熱さに心を掴まれます。」

    「女子高校生三人組がアニメーションを作る物語です。絵柄もテンポも個性的、最初はそのいかにもサブカルチャーな世界観とスピード感に乗り切れなかったのですが、読み進めるにつれて三人の背景や役割がわかってくると面白い!とくに資金繰りと機材調達をする金森さんを見ていると、プロデューサーが映像制作においていかに重要なのかがわかり、天才だけでは成り立たない世界であることを教えてくれます。緻密に描き込まれ、アクが強いと思った絵柄も後半になると映像のように見えてくるから不思議です。」

    「女子高生三人組のアニメ制作部活マンガ。妄想パートと現実パートのバランスが良いし、読ませる。密度感もいい。」

    「アクの強いキャラクター群と、リアリティなさそうな状況なのに、リアルとイメージを自在に行ったり来たりする構成がすごくハマる。」

    「誰かが面白いことを言ったら、その発言に影響された他の誰かがまた面白いアイディアを付加する。こんなことが、テンポよく繰り返され積み重なって、空想がだんだん形を成して、実現への道筋が見えてくる。こんな楽しいブレストに参加したことはありませんか?これは、まさにこの体験を味あわせてくれるマンガです。 秘密基地、おかしなところにある階段、水上の建物といった、ワクワクがたくさん詰まった3D迷路のような学園を舞台に、三人の映像研のメンバーが空想で遊び、アニメーションという形で空想を具現化してゆく物語。人の想像力の素晴らしさ、物を作る喜びを教えてくれるマンガだと思います。物を作ることが好きな人、モノを作ってみたいと思っているすべての人にお勧めのマンガです。」

    「メカや怪物の設定集は、いい意味で理屈っぽくてリアルでワンダー。浅草の夢想が突き進む世界の広々として爽快なこと! アニメーションの動きはなぜ魅力的なのか、細部のこだわりがいかに全体の悦びに結びつくのか、アニメーション論・映像論としても的確で分かりやすくて何よりマンガとして面白いなんて。」

    「行動を起こす動機の純粋さが眩しい。主人公たち3人の役回りも面白い。プロデューサー的なキャラクターって、必ず必要なんだなと実感。」

    「いわゆる「お仕事モノ」を更に捻って「アニメ制作」に必要とされる要素を、設定好きの子・アニメータで動きを表現したい子、それらに興味が無いが金を引っ張って商売をしたい子と分けて、見事に学園モノとしつつ、独自の空想をベースとした画面作りを混ぜ込んだ意欲作。」

    「2巻14話の最後、「そのこだわりで私は生き延びる」はすべての作り手にとって、「ああ、もう、よく言ってくれた!」って表現ではないでしょうか。そうか、そう言うのか、そういう言い方できちゃうのか!と衝撃を受けた僕は100回胸に刻みました。ユニークな演出の見事さとかセリフの素晴らしさとかはもちろんの本作ですが、こいういう熱いハートがこのマンガの魅力だと思います。まったく「好き」って最強です!」

    「何かに特化した人間っていうのは、面白い。何かにひたすらのめり込むことができるということは、それだけで才能。何かを本気で好きだとしたら、それが才能ということだと思う。この漫画の中では、読んでいて痛快なほどに、そんな才能≒狂気が渦巻いている。「これが好きだ!」というエネルギーの心地よさ。マニアックであることは、かくも美しきものなのだなあ、と。」

    「一次選考の際にもコメントしたことなんですが、独特な角度から描かれたメタ描写が、非常に愉快かつ痛快です。今後、各キャラクターのパーソナルな部分が見えてくることで、より面白くなることを楽しみにしている作品です。」

    「圧巻のアニメ(制作)マンガ。まんが技法の枠をさりげなく広げる画力に思わず息を飲む。場面のパースに応じて台詞のフォントにパースがついているところとか、すばらしい工夫で、デジタル時代の賜物をうまく作品の取り入れる作者のセンスが秀逸です。アニメ制作について議論を交わしたり、日常会話からふいに脳内空想に切れ目なく突入する塩梅が本当に気持ちいい。まるで自分が考えついたかのような気持ちになるくらい、キャラと一体感が持てる。期せずして純粋な創作意欲に触れてしまい、読み返すたびになんというか、泣きたくなる。」

    「物語としても面白いのですが、本作に描かれているスピリットは一人でも多くの方にしってもらいたい。それがわかる人は、好きな人はここにいるのだ!」

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