選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2018一次選考作品

『傘寿まり子』おざわゆき

  • 傘寿まり子(5) (KCデラックス BE LOVE)

  • 「主人公が80歳というのも驚きだが、確かに今の80歳は元気だし、今後の働き方のあり方など見直す機会にもなりそう。そして普段漫画を買わない方にも購入いただけて漫画を読む機会にも繋がってくれている。文藝書・文藝雑誌の今後をどう広げていけるのか、どう現実に生かせるか楽しみ。」

    「主人公のまりこさん(80歳)が「終の棲家」だと思っていた持ち家からを出るところから物語は始まる。すれ違う家族間の思惑。描かれているのは夢物語でもなければ、高齢化社会の闇でもない。おそらくは綿密に取材したであろう高齢者の真実を描きながら、少女マンガらしさも忘れない。社会の中にあるリアルとファンタジーを絶妙に織り込んでいる。昨年の1巻の時点でも投票しようか迷ったが、1年待って作品もばっちり熟してきた。ヘンに間延びすることのない、テンポのいい展開も気持ちいい。満を持して本年票を投じさせていただきます。」

    「これは間違いなく2017年でいちばんワクワクが止まらなかった作品です。前年も推しましたが、その時には1年後にこんな展開になっているとはまるで予想もつきませんでした。巻が進むにつれてまり子先生に味方が増え、彼女の冒険も思いもかけぬ方向に進んでいくのが痛快でした。ヒロインが80歳の物語でこんなにめまぐるしくパワフルにストーリーが展開するとは誰が想像できたでしょう!世代を問わずみんなが元気になれるマンガです!」

    「おざわゆきの発想の大胆さにはいつも本当に驚かされる。そして、それをきちんとエンターテイメントに着地させる力量にも感服する。まさに毎号目が離せない連載を満喫している。」

    「前人未到80歳ヒロインの迷走に超高齢化社会を映し、且つ心ときめく瑞々しいエンターテインメントに。老いはダイナミックでドラマチック、という発見がドキドキとワクワクを誘う。」

    「確かに世の中に存在するけれど、まだ、フィクションの中に存在していない新しいキャラクターを見つけられるのが、マンガだと思いますが。傘寿まり子、まさに主人公が80才。確かに、考えてみればいまの80才はほんの20年前の80才とはまったく違う存在。その行動力が、もし、発揮されたら...! お年寄りだって恋をする、という『人間交差点』みたいな展開はほんの一瞬訪れますが、圧巻は3巻から。そもそも主人公が80才じゃなかったとしても、まだまだ可能性が掘り尽くされていない世界に踏み込んで行きます。ネットゲームと独居老人とかつての文壇とゴミ屋敷...! 我々がいつも意識の底で気になっているあれこれを物語のなかに巻き込んで、この物語はどこへ行く!」

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