選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2018ノミネート作品

『約束のネバーランド』出水ぽすか・白井カイウ

  • 約束のネバーランド 6 (ジャンプコミックス)

  • 選考員コメント・1次選考

    「読んだらこのドキドキや今後どうなるかを誰かと話したくなる!だから誰かに薦めたくなる!マンガ大賞にとてもふさわしい作品だと思います。予測できないストーリー、伏線の数々、毎話毎話の引きの強さ、絵の中で生き生きとしているキャラクター達。ハラハラドキドキする物語もお薦めするポイントなのですが、つねに「命を頂く」ということを考えさせられます。読み進めるにつれて、1話から描かれている「いただきます」と食事をとるシーンの重みを感じます。物語とはズレるかもですが、漫画を読んでいる子供達(もちろん大人も)の食育になればいいなと思いました。食育というほど説教くさくなくて、面白い物語の中に溶け込んでいるのが素晴らしい。私も、約束のネバーランドを読んでから、命を頂く、食べる、ということをより意識するようになり、調べること、知ること、選ぶことをするようになりました。物語を楽しみながら学べることがたくさんあります。そんな作品が今、子供達も読んでいる週間少年ジャンプで連載されているっていいなぁと思いました。内容やキャラクターについてもっと触れたいのですがどうしたってネタバレになってしまう...第1話が衝撃なので、これ以上のネタバレを知らずに、とりあえず読んでみてください!!」

    「連載当初から注目している作品。食用プラントとしての孤児院で「鬼」の餌として育てられている子供たちが、どうやって生き残って行くのか。最新刊では、他のプラントの人たちとも出会い、鬼と戦う方法を模索して行く過程に手に汗握ってしまいます。」

    「この作品に対して、これがJUMPの作品なの!?という良い意味でのギャップの声をよく聞きますが、勇気や知恵、努力を通じて勝利を目指そうとする主人公たちの姿はまさにJUMPの作品なのではないでしょうか。聡明な子どもたちが如何にして、狡猾な大人たちの檻から逃げ出すか。展開が進むにつれ世界が広がって、解ける謎、深まる謎など面白い要素がどんどん出てきます。いま続きを早く読みたい1番の作品です。」

    「読みだしたら止まらないっこの先どうなるんだろうか!早く次の巻お願いします!と、みな思っているはず。」

    「今、一番続きが気になる連載。毎週、少年ジャンプの発売をわくわくしながら待っています。毎回、読者の予想を裏切る展開で、まさにハラハラドキドキ。作者のイマジネーションに今後も期待しています。」

    「ぶっ飛んでる世界観だけど子供達がピュアなので、不思議なバランス感覚が楽しい。展開もスリリング。」

    「昨年、1巻の段階でブレイクを予感しましたが、それが間違ってなかったとわかって大変よい気持ちです。脱獄編が終わってもテンションが落ちないのはすばらしい。この先まだまだ、いくつもサプライズがあるんだろうなあ。カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」に出だしの設定が似てるのは、意識したのかどうか、一度作者に聞いてみたい。」

    「「楽園」という檻からの脱出、王道なのに思わず読み進んでしまう。」

    「スリリングな展開。こども達が次々と様々な危機に立ち向かい、切り抜ける様から目が離せない。もし、最終巻が100巻まであったとしても、一気読みしていたと思います。」

    「農園から脱出までがかなりハラハラドキドキで面白かったため、その後はどうだろう?と思ったこともあったのだが、全く心配いらなかった。むしろなぞはどんどん深まり、おもしろさを増していく。さらにコミックス自体のおまけも読み応えがあった。ヒントが隠されている、などの情報を作者からもらえると、ファンなら嬉しくて探してしまう。キャラクターそれぞれの個性の違いと、問題の対処にあたっての解決の取り方が議論されたり、読者の予想を裏切ったりと、読んでいる間の時間はとても楽しく、ストレスを忘れる。それなのに、どんなときにでも肩の力をいれることなく読めるというところも嬉しい。続きが待ち遠しいです!」

    選考員コメント・2次選考

    「一巻を読んだときにすごい!と思ったが、巻を増すごとに更に面白くなった。一つ区切りがついたところで失速するかと思ったが、そんなこともなく。新たな展開も楽しみ。」

    「とにかく続きが気になって、読み出すと止まりません!」

    「いろんなところで褒めちぎられている作品なので、今さら感もありますが、改めて読むと、やっぱり圧倒的なストーリーテリングで止まらなくなる。GF農園編が終わった後も、面白さのテンションがまったく下がらないのも驚き。まずセリフの密度がすごいし、それを滑らかに読ませる絵力とコマ運びもすごい。エンターテインメントとしては文句なしの収穫だと思いますが、さらに高い点数をつけた作品もあるので、昨年は豊作だったということでしょう。 GF農園からの脱獄を果たした子どもたちが、なおも檻に捕らわれていることを知り、さらに外の世界への脱獄を決意するところがいい。この世界は、目をつぶって妥協する者には楽園だし、目を開いて自由を求め続ける者には牢獄となる。生きることとは、決して脱獄を諦めないことなんですね。」

    「希望と絶望。まるで正反対の感情がぶつかり合う場所に放り込まれて、人はどちらの感情に身を寄せていくのだろう。出水ぽすかが作画し、白井カイウが原作を担当しているマンガ『約束のネバーランド』を読んで浮かぶ疑問であり、期待だ。 1000年も前に人は人を襲って食らう鬼と袂を分かって交流を閉ざし、そして鬼の住み処で新たなに人が工業生産とも栽培とも言える状況下、ただ美味なる食糧として鬼に食われ、育てられ、生み出されていた。すなわち人肉工場。あるいは人間養殖場。従って最初から出口など存在しない場所。そうとは知らずエマはレイやノーマンらと謀って、自分たちが生み出され、育てられた施設「GF(グレイスフィールド)」か逃げだそうとする。 GFの周りをぐるりと囲った高い壁を乗り越え、その向こうに広くて深い溝があっても道具を使って飛び越えて森へと逃げたエマやレイや子供たち。ノーマンだけは"出荷"が来て連れ去られていき、救えなかったエマやレイは自分たちが彼の分も生き延びようとして森を走ってW.ミネルヴァなる人物の元へと赴こうとする。その人物こそがエマたちが暮らす、ただ鬼の食糧として育てられ、成長したら出荷されて食われるだけの場所から逃げ出すための道を示してくれるはずだった。 希望。ミネルヴァという人物が支持した場所まで走りきれば、鬼に食われることなく生き延びられるという希望。鬼の手を逃れて自由を手に入れられるという希望にあふれた少年少女たちに同情の喜びを抱いたのもつかの間、GFの外が深い溝に囲われていたという状況にも勝る絶望がエマたちを襲う。 1000年も前の地球で人と鬼との間に結ばれたある"契約"。それが本当だとしたら、エマたち人間が鬼たちの暮らす世界に生まれ、育ってそして食われるような状況はあり得ない。けれどエマたちは鬼に食われる将来を知って逃げ出した。そして知った。GFの外に広がった世界の向こう側には、通り抜けることのできない壁が控えていることを。 まさに絶体絶命。そこで踏みとどまって鬼の目を逃れながらせいぜいの生を享受するしか道はなくなった。それならいっそGFに戻って安寧の中で最長で12歳までの生を精一杯に謳歌する方が楽ではないのか。絶望から浮かぶ諦めの中に身を委ねる安易へと傾き書けた心を叱咤し、奮い立たせるものがあった。 それが希望。エマが抱く、エマだけが強く抱き続けるどこかに絶対にある場所なら、いつか必ずたどり着けるという希望。箱を出たらそこも箱の中だったという恐怖にも似た状況が、どれだけ繰り返されようとも永遠に連なる箱などないと信じて進む心の強さをエマからもらい、そしてエマに従い進んでいくレイやGFの少年少女たちから感じ取る。 第6巻で絶望の淵から咲いたかすかな希望を育てながら、進んでいく一行の前に第7巻で現れた人物の突きつけてくる絶望混じりの諦めを、エマたちはパスしていけるのか。そして本当にいつか外へと、自由な外へとたどり着ける時が来るのか。そこは本当に自由で楽しく優しい場所なのか。なおも尽きない疑問を引きずりながらも立ち止まらず、振り返らず戻ることもなしに前へと進むだろうエマやレイや少年少女たちに引っ張られ、希望を灯して読み進めていきたい。」

    「一度気づいたらそれはもはや昨日までの平穏な日常には戻らない。徐々に真の姿を現してくる世界。少年少女は勇気と知恵でこれに立ち向かう。これこそ少年マンガの醍醐味だ!」

    「ページをめくったら秒で物語の中に引きずり込まれてました!この幸せな感覚を久しぶりに味わえたことに感謝!」

    「良い意味でズルいです!ストーリーの展開だけでここまで心惹かれるマンガに出会ったことはありませんでした。推理小説の鮮やかなトリック、魔法のような手品、そういったものに出会った時のような「起こりえないことが目の前で起こっている」時のドキドキ感をずっと与えてもらっています。各所にちりばめられたヒントを丁寧に拾って先の展開を予想する楽しさ、読んで答え合わせをする楽しさ、読後に友人たちとああでもないこうでもないと感想を言い合いながら考察を深める楽しさ、様々な楽しみ方ができるエンターテイメントだなぁと。時間がたってから読んでも楽しいことは間違いないですが、連載をリアルタイムに追い、この作品が好きな人たちとワイワイしながら応援をするとさらに楽しめるので、一人でも多く方に今読んでほしいと思います。」

    「去年も投票したのですが、今年もまた投票します。それは、去年にもまして面白くなってきているから。一番最初のもりあがりでもある「孤児院からの脱出」編が終了しても、なぞは深まるばかり・・そして子どもたちは成長していく。決してあきらめずに。そしてこのシビアな内容なのに、不思議な点が一点あって、それでも「気軽に」読めるところも魅力のひとつだ。最近のサバイバルものや少年少女があるところから脱出するのがテーマだったりするものは「グロさ」「こわさ」「緊迫感」に焦点があてられていて、読んでいてやっぱり「気が重い」。良質な作品であるとわかっていても、通勤電車や疲れているときにふと読みたくなる類のものではないのだ。ところがこの作品はそうではなく、買ってすぐに、どのタイミングであってもすっと読める。もちろん通勤中であっても。それはやはりさすがジャンプ、主人公達のひたむきさや明るさ、前向きさが影響していると思う。どんな絶望やピンチに面しても、それを勇気と知恵で切り抜ける姿は、ドキドキのほかに癒しももたらしてくれる、不思議なマンガだ。」

    「こんなに毎回引きの強い終わり方ができるのがすごい。今でも毎週そうです。いつもジャンプを読むと友達とLINEで約束のネバーランドの話をするのですが、結局感想は毎回「続きが気になる!!!」です(笑)ストーリーはもちろん、絵も素晴らしいです。キャラクター達は1人1人ちゃんと違うのがよくわかる。絵の中で動いて生きている。行動や表情や台詞にそれぞれの性格がよく現れているなぁと思います。子供達も大人も、どのキャラクターにも感情移入できる。あの子やあの人の気持ちを考えて涙がぼろぼろこぼれた話もありました。そして、一次選考の時にも書きましたが、「命を頂く」ということを考えさせられます。あれこれ教えられるよりも、自分で気づいた方が、その物事に目がいくし興味を持てると思います。なのでハラハラドキドキする物語の中に、命を頂く、食べることや、家畜のことなどの話が混ぜ込まれいるのが素敵だなと思いました。何が正しいか、何が正解かなんてわからないけど、私は自分で考えて悩むことができてよかったです。悩みながら選択をしています。「いただきます」「ごちそうさま」と、エマ達のように手を合わせてご飯を食べます。これからも考えることをやめず、エマ達をハラハラドキドキしながら見守っていきたいです!」

    「少年漫画の王道ファンタジーなのに、読者を引きつけるのがとてもうまい。知力、体力を駆使して「楽園」からの脱出を試みる子供たちから目が離せません。」

    「少年ジャンプの「枠」を超える作品。大人にこそ、おすすめ。」

    「以前のノミネートの頃から話が進んで今すごく面白い!先が気になる。いくつもの伏線、緊張感の中に主人公の真っ直ぐさ放つ輝きが試練を乗り越える度増していく王道感が気持ちいいです。」

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