選考作品へおすすめコメント

マンガ大賞2017一次選考作品

『僕と君の大切な話』ろびこ


僕と君の大切な話(1) (KC デザート)

「『となりの怪物くん』で大メジャーになったろびこの新作は、ごく控えめに言ってかなり変わっている。で、2巻発売がこんなに楽しみな少女マンガも個人的にはそうはない。読書好きなメガネ男子の東くんと、美形なのにコミュ障気味で挙動不審な相沢さん。1巻の多くはこの平和台高校生の男女2人のやり取りのみで進行する。舞台となるのも各話ほぼ一貫して中央電鉄へいわ台駅(作者によると小田急線の参宮橋がモデル)のホームのベンチのみ。まるで一幕ものの芝居のよう。その舞台装置たるベンチにしても、後ろの壁には「肛門科ひふ科よしじま医院」なる看板が貼ってあったりする。そんな、少女マンガ的キラキラとは無縁の「ど日常」な場所で、派手な展開とも無縁な会話劇だけで、どうにもドキドキ胸の鼓動が高まるスリリングな恋愛(寸前)劇を読ませる。絶妙な「間」、タイミング、小ねたを駆使して描かれる男女のすれ違い、認識のずれ、価値観の対極ぶりと、相沢さんの心中で展開されるドン引きとトキメキの往復運転。これこそ少女漫画家のこだわり、練りに練ったネームの力というもの。絵も繊細美麗。『怪物』連載以前、デビュー当時のスタイリッシュなセンスが復活したような印象で、ひとコマひとコマを追うのが楽しい。「デザート」誌の連載は未見のため2巻の「学校生活編」がどう進行しているのかは分からないが、まずはこの特異な1巻をお手に取っていただければ。」